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(令和元年法律第四十二号)
施行日: 令和元年八月十六日
最終更新: 令和元年六月十九日公布(令和元年法律第四十二号)改正 法令ごとに表示される「最終更新」とは?
棚田地域振興法
令和元年法律第四十二号
棚田地域振興法
(目的)
第一条 この法律は、棚田地域における人口の減少、高齢化の進展等により棚田が荒廃の危機に直面していることに鑑み、棚田地域の振興について、基本理念を定め、及び国等の責務を明らかにするとともに、基本方針の策定その他の棚田地域の振興に関し必要な事項を定めることにより、貴重な国民的財産である棚田を保全し、棚田地域の有する多面にわたる機能の維持増進を図り、もって棚田地域の持続的発展及び国民生活の安定向上に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「棚田」とは、傾斜地に階段状に設けられた田をいい、「棚田等」とは、棚田及び棚田に類する形状の農用地(農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律(平成二十六年法律第七十八号)第三条第二項に規定する農用地をいう。)をいう。
2 この法律において「棚田地域」とは、自然的社会的諸条件からみて一体的な日常生活圏を構成していると認められる棚田を含む一定の地域で政令で定める要件に該当するものをいう。
3 この法律において「棚田地域振興活動」とは、棚田地域の振興に関する活動及び棚田地域内の棚田等の保全に関する活動をいう。
(基本理念)
第三条 棚田地域の振興は、棚田地域の有する農産物の供給、国土の保全、水源のかん 養、生物の多様性の確保その他の自然環境の保全、良好な景観の形成、伝統文化の継承等の多面にわたる機能が維持され、国民が将来にわたってその恵沢を享受することができるよう、棚田等の保全を図るとともに、棚田地域における定住等(棚田地域における定住及び他の地域の住民がその住所のほか棚田地域に居所を有することをいう。)並びに国内及び国外の地域との交流を促進することを旨として、行われなければならない。
2 棚田地域の振興に関する施策は、農業者、農業者の組織する団体、地域住民その他の者が地域の特性に即した棚田地域の振興を図るためにする自主的な努力を助長すること並びに多様な主体の連携及び協力を促進することを旨として、講ぜられなければならない。
(国等の責務)
第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、棚田地域の振興に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、棚田地域の振興に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施するよう努めなければならない。
(基本方針)
第五条 政府は、棚田地域の振興に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 棚田地域の振興の意義及び目標に関する事項
二 棚田地域の振興に関する施策に関する基本的事項
三 第七条第一項の規定による指定棚田地域の指定に関する基本的事項
四 第八条第一項に規定する指定棚田地域振興協議会に関する基本的事項
五 第八条第二項第一号の指定棚田地域振興活動計画の作成に関する基本的事項
六 第十条第三項の指定棚田地域振興活動計画の認定に関する基本的事項
七 前各号に掲げるもののほか、棚田地域の振興に関する重要事項
3 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。
5 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。
(都道府県棚田地域振興計画)
第六条 都道府県は、基本方針を勘案して、当該都道府県における棚田地域の振興に関する基本的な計画(以下この条並びに第八条第三項及び第七項において「都道府県棚田地域振興計画」という。)を定めることができる。
2 都道府県棚田地域振興計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 棚田地域の振興の目標
二 棚田地域の振興に関し、総合的かつ計画的に講ずべき施策
三 前二号に掲げるもののほか、棚田地域の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 都道府県棚田地域振興計画は、国土形成計画、山村振興計画、過疎地域自立促進計画その他法律の規定による地域振興に関する計画との調和が保たれたものでなければならない。
4 都道府県は、都道府県棚田地域振興計画を作成しようとするときは、あらかじめ、関係市町村の意見を聴かなければならない。
5 市町村及び農業者、農業者の組織する団体、地域住民、特定非営利活動法人(特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人をいう。第八条第一項において同じ。)その他の棚田地域振興活動に参加する者は、都道府県に対し、都道府県棚田地域振興計画の作成についての提案をすることができる。
6 前項の提案を受けた都道府県は、当該提案を踏まえた都道府県棚田地域振興計画を作成する必要がないと判断したときは、その旨及びその理由を、当該提案をした者に通知しなければならない。
7 都道府県は、都道府県棚田地域振興計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
8 第四項から前項までの規定は、都道府県棚田地域振興計画の変更について準用する。
(指定棚田地域)
第七条 主務大臣は、主務省令で定めるところにより、都道府県の申請に基づき、棚田地域であって、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当するものを指定棚田地域として指定する。
一 棚田等の保全を図るため、当該棚田地域の振興のための措置を講ずることが適当であると認められること。
二 当該棚田地域に係る棚田地域振興活動が円滑かつ確実に実施されると見込まれること。
2 都道府県は、前項の申請(次項の規定による市町村の提案に基づくものを除く。)をしようとするときは、あらかじめ、関係市町村に協議しなければならない。
3 市町村及び前条第五項に規定する棚田地域振興活動に参加する者は、都道府県に対し、第一項の申請をすることについての提案をすることができる。
4 前項の提案を受けた都道府県は、当該提案に基づき第一項の申請をするか否かについて、遅滞なく、当該提案をした者に通知しなければならない。この場合において、同項の申請をしないこととするときは、その理由を明らかにしなければならない。
5 主務大臣は、第一項の規定による指定をするときは、その旨及びその区域を官報で公示しなければならない。
6 主務大臣は、第一項の規定による指定に係る都道府県の申請に基づき、当該指定を解除することができる。この場合においては、第二項及び前項の規定を準用する。
7 前項に定める場合のほか、主務大臣は、指定棚田地域が第一項各号に掲げる要件のいずれかに該当しなくなったと認めるときは、同項の規定による指定に係る都道府県の意見を聴いて、当該指定を解除することができる。この場合においては、第五項の規定を準用する。
(指定棚田地域振興協議会)
第八条 前条第一項の規定による指定があったときは、当該指定に係る指定棚田地域を管轄する市町村は、次項に規定する事務を行うため、当該市町村のほか、農業者、農業者の組織する団体、地域住民、特定非営利活動法人その他の指定棚田地域に係る棚田地域振興活動(以下「指定棚田地域振興活動」という。)に参加する者(第七項及び第八項において「指定棚田地域振興活動参加者」という。)からなる指定棚田地域振興協議会(以下「協議会」という。)を組織することができる。
2 協議会は、次に掲げる事務を行うものとする。
一 指定棚田地域振興活動に関する計画(以下「指定棚田地域振興活動計画」という。)を作成すること。
二 指定棚田地域振興活動の実施に係る連絡調整を行うこと。
3 指定棚田地域振興活動計画には、基本方針に即して(都道府県棚田地域振興計画が定められているときは、基本方針に即するとともに、都道府県棚田地域振興計画を勘案して)、次に掲げる事項を記載するものとする。
一 指定棚田地域振興活動を通じて保全を図る棚田等に関する事項
二 指定棚田地域振興活動の目標
三 計画期間
四 各年度において行う指定棚田地域振興活動の内容及び実施主体に関する事項
五 協議会に参加する者の名称又は氏名
六 前各号に掲げるもののほか、指定棚田地域振興活動に関し必要な事項
4 前項第四号に掲げる事項には、次に掲げる事項を記載することができる。ただし、第二号に掲げる事項については、エコツーリズム推進法(平成十九年法律第百五号)第五条第二項第一号に規定するエコツーリズム推進全体構想(第十三条において単に「エコツーリズム推進全体構想」という。)が作成されている場合に限る。
一 定住等・地域間交流事業(農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律(平成十九年法律第四十八号)第三条各号に掲げる要件に該当する地域に係る同法第五条第二項第二号又は第三号に規定する事業又は事務であって同法第六条第二項の交付金を充てて実施をしようとするもののうち、指定棚田地域振興活動に関するものをいう。)に関する事項
二 エコツーリズム推進法第五条第三項各号に掲げる事項に相当する事項であって指定棚田地域振興活動に関するものに関する事項
5 協議会は、指定棚田地域振興活動計画を作成しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議しなければならない。
6 前項の規定は、指定棚田地域振興活動計画の変更について準用する。
7 指定棚田地域振興活動参加者は、市町村に対し、協議会を組織することを提案することができる。この場合においては、基本方針に即して(都道府県棚田地域振興計画が定められているときは、基本方針に即するとともに、都道府県棚田地域振興計画を勘案して)、その提案に係る協議会が作成すべき指定棚田地域振興活動計画の素案を作成して、これを提示しなければならない。
8 指定棚田地域振興活動参加者で協議会の構成員でないものは、市町村に対して書面でその意思を表示することによって、自己を当該市町村が組織した協議会の構成員として加えるよう申し出ることができる。
9 前各項に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関して必要な事項は、協議会が定める。
10 協議会の構成員は、相協力して、指定棚田地域振興活動計画の実施に努めなければならない。
(指定棚田地域振興活動計画の作成等に関する援助)
第九条 国は、協議会の構成員に対し、指定棚田地域振興活動計画の作成及びその円滑かつ確実な実施に関し必要な情報提供、助言その他の援助を行うよう努めるものとする。
(指定棚田地域振興活動計画の認定等)
第十条 市町村は、その組織した協議会が指定棚田地域振興活動計画を作成したときは、主務省令で定めるところにより、当該指定棚田地域振興活動計画について主務大臣の認定を申請することができる。
2 前項の規定による認定の申請は、都道府県知事を経由して行わなければならない。
3 主務大臣は、第一項の規定による認定の申請があった指定棚田地域振興活動計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、その認定をするものとする。
一 基本方針に適合するものであること。
二 当該指定棚田地域振興活動計画の実施が指定棚田地域の振興又は指定棚田地域内の棚田等の保全に相当程度寄与するものであると認められること。
三 円滑かつ確実に実施されると認められるものであること。
4 主務大臣は、前項の認定をしたときは、遅滞なく、当該認定を受けた指定棚田地域振興活動計画(以下「認定棚田地域振興活動計画」という。)の概要を公表しなければならない。
5 市町村は、その組織した協議会が認定棚田地域振興活動計画の変更(主務省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣の認定を受けなければならない。
6 第二項から第四項までの規定は、前項の認定について準用する。
7 主務大臣は、認定棚田地域振興活動計画(認定棚田地域振興活動計画の変更があったときは、その変更後のもの。以下同じ。)が第三項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるとき又は認定棚田地域振興活動計画に従って指定棚田地域振興活動が実施されていないと認めるときは、その認定を取り消すことができる。
8 主務大臣は、前項の規定により第三項の認定を取り消したときは、その旨を公表しなければならない。
第十一条 主務大臣は、前条第三項の認定に係る市町村に対し、認定棚田地域振興活動計画の実施の状況について報告を求めることができる。
(農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の特例)
第十二条 市町村が、第八条第四項第一号に掲げる事項が記載された指定棚田地域振興活動計画について、第十条第一項の規定による認定の申請をしたときは、農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律第六条第一項の規定による活性化計画の提出があったものとみなして、同条第二項から第四項までの規定を適用する。この場合において、同条第二項中「事業等」とあるのは、「棚田地域振興法第八条第四項第一号に規定する定住等・地域間交流事業」とする。
(エコツーリズム推進法の特例)
第十三条 第八条第四項第二号に掲げる事項が記載された指定棚田地域振興活動計画が第十条第三項又は第五項の認定を受けたときは、当該認定の日において、当該事項に係るエコツーリズム推進全体構想についてエコツーリズム推進法第六条第二項又は第五項の認定があったものとみなす。
(財政上の措置等)
第十四条 国は、認定棚田地域振興活動計画に基づく指定棚田地域振興活動を支援するため必要な財政上又は税制上の措置その他の措置を講ずるものとする。
(指定棚田地域の振興に資する事業の公表)
第十五条 国は、毎年度、当該年度に実施する指定棚田地域の振興に資する事業について、その内容を取りまとめ、公表するものとする。
(人材の育成及び確保)
第十六条 国及び地方公共団体は、棚田地域振興活動を担うべき人材を育成し、及び確保するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(棚田地域振興連絡会議)
第十七条 政府は、内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、国土交通省、環境省その他の関係行政機関の職員をもって構成する棚田地域振興連絡会議を設け、棚田地域の振興に関する施策の総合的かつ効果的な推進を図るための連絡調整を行うものとする。
(主務大臣等)
第十八条 この法律における主務大臣は、総務大臣、文部科学大臣、農林水産大臣、国土交通大臣及び環境大臣とする。
2 この法律における主務省令は、総務省令・文部科学省令・農林水産省令・国土交通省令・環境省令とする。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して二月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(この法律の失効)
2 この法律は、令和七年三月三十一日限り、その効力を失う。