(許可)
第四条 前条第一号から第四号までに掲げる港湾運送事業(以下「一般港湾運送事業等」という。)を営もうとする者は、港湾運送事業の種類及び港湾ごとに、同条第五号から第七号までに掲げる港湾運送事業(以下「検数事業等」という。)を営もうとする者は、港湾運送事業の種類ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない。この場合において、一般港湾運送事業、はしけ運送事業又はいかだ運送事業の許可を受けた者は、当該許可に係る港湾を起点又は終点とする指定区間においても、当該許可に係る一般港湾運送事業等を営むことができる。
(許可の申請)
第五条 港湾運送事業の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
2 前項の申請書には、資金計画その他国土交通省令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。
3 国土交通大臣は、申請者に対し、前二項に規定するもののほか、当該申請者の登記事項証明書その他必要な書類の提出を求めることができる。
(許可基準)
第六条 国土交通大臣は、港湾運送事業の許可をしようとするときは、次の基準に適合するかどうかを審査して、これをしなければならない。
一 一般港湾運送事業等にあつては、少なくとも、港湾運送事業の種類及び港湾ごとに国土交通省令で定める施設及び労働者を有するものであること。
二 検数事業等にあつては、検数事業等の公正かつ適正な実施を確保するため必要な体制が整備されていること。
三 当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。
四 当該事業を営む者の責任の範囲が明確であるような経営形態であること。
2 国土交通大臣は、前項の規定により審査した結果、その申請が同項の基準に適合していると認めたときは、申請者が次の各号のいずれかに該当する場合を除いて、港湾運送事業の許可をしなければならない。
一 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
三 港湾運送事業の許可を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しを受けた法人のその処分を受ける原因となつた事項が発生した当時現にその法人の業務を執行する役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。)として在任した者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)
四 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であつて、その法定代理人が前三号又は次号のいずれかに該当する者であるもの
五 法人であつて、その役員のうちに前各号のいずれかに該当する者があるもの
(運賃及び料金)
第九条 港湾運送事業の許可を受けた者(以下「港湾運送事業者」という。)は、国土交通省令で定めるところにより、運賃及び料金を定め、あらかじめ、国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 国土交通大臣は、前項の運賃又は料金が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該港湾運送事業者に対し、期限を定めてその運賃又は料金を変更すべきことを命ずることができる。
一 特定の利用者に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき。
二 他の港湾運送事業者との間に不当な競争を引き起こすこととなるおそれがあるものであるとき。
(運賃及び料金の割戻の禁止)
第十条 港湾運送事業者は、利用者に対し、収受した運賃及び料金の割戻をしてはならない。
(港湾運送約款)
第十一条 一般港湾運送事業の許可を受けた者(以下「一般港湾運送事業者」という。)は、国土交通省令で定めるところにより、港湾運送約款を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 国土交通大臣は、前項の認可をしようとするときは、次に掲げる基準によつてこれをしなければならない。
一 利用者の正当な利益を害するおそれがないものであること。
二 少なくとも貨物の受取及び引渡し並びに一般港湾運送事業者の責任に関する事項が明確に定められているものであること。
(運賃及び料金並びに港湾運送約款の掲示)
第十二条 港湾運送事業者は、第九条第一項の規定により届け出た運賃及び料金(特定の荷主又は船舶運航事業者に限つて定められたものを除く。)並びに前条第一項の規定により認可を受けた港湾運送約款を営業所において利用者の見やすいように掲示しなければならない。
(引渡不能貨物の寄託)
第十三条 一般港湾運送事業者は、その責に帰すべからざる事由により貨物の引渡をすることができないときは、荷受人の費用をもつてこれを倉庫営業者に寄託することができる。
2 一般港湾運送事業者は、前項の規定により貨物を寄託したときは、遅滞なく、その旨を荷受人に通知しなければならない。
(名義利用の禁止)
第十四条 港湾運送事業者は、その名義を他人に港湾運送事業のため利用させてはならない。
(差別取扱等の禁止)
第十五条 港湾運送事業者は、特定の利用者に対し貨物の多寡その他の理由により不当な差別的取扱をしてはならない。
(下請の制限)
第十六条 一般港湾運送事業者は、各月中に引き受けた港湾運送については、第二条第一項第二号から第五号までに掲げる行為の種別ごとに、少なくとも、当該月中に引き受けた港湾運送のうち当該種別のものに係る貨物量に国土交通省令で定める率を乗じて得た貨物量の貨物に係る当該種別の行為を自ら行なわなければならない。
2 前項の規定の適用については、一般港湾運送事業者がその引き受けた港湾運送を他の港湾運送事業者(当該一般港湾運送事業者が発行済株式の総数の二分の一を超える株式を保有することによりその事業活動を支配するものその他当該一般港湾運送事業者とこれに準ずる国土交通省令で定める密接な関係を有するものに限る。)に下請をさせる場合における当該下請に係る行為は、自ら行つた行為とみなす。ただし、次のいずれかに該当する場合に限る。
一 当該一般港湾運送事業者が当該月中に引き受けた港湾運送に係る第二条第一項第二号から第五号までに掲げる行為のうちいずれかの種別の行為を前項の規定に従つて自ら行つたとき。
二 当該一般港湾運送事業者が当該月中に引き受けた港湾運送に係る貨物量に国土交通省令で定める率を乗じて得た貨物量以上の量の貨物について、コンテナ埠
頭その他の国土交通省令で定める施設において第二条第一項第二号又は第四号に掲げる行為を国土交通省令で定めるところにより自らの統括管理の下において行つたとき。
3 第三条第二号から第四号までに掲げる港湾運送事業(以下「港湾荷役事業等」という。)の許可を受けた者は、各月中に引き受けた港湾運送(他の港湾運送事業者から引き受けたものを除く。)については、少なくとも、当該月中に引き受けた港湾運送に係る貨物量に第一項の国土交通省令で定める率を乗じて得た貨物量の貨物に係る港湾運送を自ら行わなければならない。
4 港湾荷役事業等の許可を受けた者は、他の港湾運送事業者から引き受けた港湾運送については、その全部を自ら行わなければならない。
5 第一項から第三項までに規定する貨物量の算出の方法は、国土交通省令で定める。
6 国土交通大臣は、港湾運送事業者が第一項、第三項又は第四項の規定に違反していると認めるときは、当該港湾運送事業者に対し、その是正のために必要な事業施設の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができる。
(公正な検数事業等の確保)
第十六条の二 検数事業等の許可を受けた者は、公正に検数、鑑定又は検量を行わなければならない。
(事業計画の変更)
第十七条 港湾運送事業者は、事業計画を変更しようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。但し、国土交通省令で定める軽微な事項に係る変更については、この限りでない。
3 港湾運送事業者は、第一項但書の事項について事業計画を変更したときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
(事業計画に定める業務の確保)
第十七条の二 港湾運送事業者は、天災その他やむを得ない事由がある場合の外、事業計画に定めるところに従い、その業務を行わなければならない。
2 国土交通大臣は、港湾運送事業者が前項の規定に違反していると認めるときは、当該港湾運送事業者に対し、事業計画に従い業務を行うべきことを命ずることができる。
(事業の譲渡及び譲受の認可等)
第十八条 港湾運送事業の譲渡及び譲受は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 港湾運送事業を経営する法人の合併及び分割は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。ただし、港湾運送事業を経営する法人が港湾運送事業を行わない法人を合併する場合又は分割により港湾運送事業を承継させない場合は、この限りでない。
3 第一項の規定により認可を受けて港湾運送事業を譲り受けた者又は前項の規定により認可を受けて合併若しくは分割をした場合における合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人若しくは分割により港湾運送事業を承継した法人は、許可に基づく権利義務を承継する。
4 港湾運送事業者が死亡した場合において、相続人が被相続人の行つていた港湾運送事業を引き続き営もうとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。
5 相続人は、前項の規定により被相続人の死亡後六十日以内に認可の申請をした場合においては、その認可をした旨又はその認可をしない旨の通知を受ける日までは、第四条の規定にかかわらず、当該事業を営むことができる。
6 第六条の規定は、第一項、第二項又は第四項の認可について準用する。
(公益命令)
第十八条の二 国土交通大臣は、災害の救助その他公共の安全の維持のため必要な港湾運送であり、且つ、自発的に当該業務を行う者がない場合又は著しく不足する場合に限り、第十五条の規定にかかわらず、港湾運送事業者を指定して、左の各号に掲げる事項を命ずることができる。
一 国土交通大臣の指定した貨物の取扱又は運送をすること。
二 貨物の取扱又は運送の方法又は順位を変更すること。
2 前項の規定による命令で次条の規定による損失の補償を伴うものは、これによつて必要となる補償金の総額が、国会の議決を経た予算の金額をこえない範囲内で、これをしなければならない。
(損失の補償)
第十八条の三 前条第一項の規定による命令を受けた者に対しては、その命令を受けたことによつて通常生ずべき損失(その命令を受けなかつたならば通常得らるべき利益が得られなかつたことによる損失を含む。)を補償する。
2 前項の補償の額は、国土交通大臣がこれを決定する。
3 前項の決定に不服がある者は、その決定を知つた日から六箇月以内に、訴えをもつて補償の額の増額を請求することができる。
5 前四項に定めるものの外、損失の補償に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
(事業の休廃止の届出)
第二十条 港湾運送事業者は、その事業を休止し、又は廃止しようとするときは、国土交通省令で定める手続により、休止又は廃止の日の三十日前までに、国土交通大臣にその旨を届け出なければならない。
(事業改善命令)
第二十一条 国土交通大臣は、港湾運送事業者の事業について利用者の利便その他公共の利益を阻害している事実があると認めるときは、当該港湾運送事業者に対し、事業計画の変更その他の事業の運営を改善するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(事業の停止及び許可の取消し)
第二十二条 国土交通大臣は、港湾運送事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、三月以内において期間を定めて当該事業の停止を命じ、又は当該港湾運送事業の許可を取り消すことができる。
二 正当な理由がないのに認可を受けた事項を実施しないとき。
三 第六条第二項第一号、第二号、第四号又は第五号の規定に該当するに至つたとき。
(港湾運送関連事業の届出)
第二十二条の二 港湾運送関連事業を営もうとする者は、あらかじめ、港湾ごとに、国土交通省令で定める事項を国土交通大臣に届け出なければならない。当該届出をした者(以下「港湾運送関連事業者」という。)が当該届出をした事項を変更しようとするときも、同様とする。
2 港湾運送関連事業者は、その事業を休止し、又は廃止したときは、その日から三十日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
(料金)
第二十二条の三 港湾運送関連事業者は、国土交通省令で定めるところにより、港湾ごとに、料金を定め、その実施前に、国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 第九条第二項の規定は、港湾運送関連事業者が前項の規定により届け出た料金について準用する。
(料金の割戻しの禁止及び料金の掲示)
第二十二条の四 第十条の規定は港湾運送関連事業者が収受した料金について、第十二条の規定は港湾運送関連事業者が前条第一項の規定により届け出た料金について準用する。