昭和五十六年文部省令第三十三号
大学通信教育設置基準
学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第三条及び第八十八条の規定に基づき、大学通信教育設置基準を次のように定める。
(趣旨)
第一条 大学(短期大学を除く。以下同じ。)が行う通信教育に係る設置基準は、この省令の定めるところによる。
2 この省令で定める設置基準は、通信教育を行う大学を設置し、又は大学において通信教育を開設するのに必要な最低の基準とする。
3 大学は、この省令で定める設置基準より低下した状態にならないようにすることはもとより、学校教育法第百九条第一項の点検及び評価の結果並びに認証評価の結果を踏まえ、教育研究活動等について不断の見直しを行うことにより、その水準の向上を図ることに努めなければならない。
(通信教育を行い得る専攻分野)
第二条 大学は、通信教育によつて十分な教育効果が得られる専攻分野について、通信教育を行うことができるものとする。
(授業の方法等)
第三条 授業は、印刷教材その他これに準ずる教材を送付若しくは指定し、若しくはその内容をインターネットその他の高度情報通信ネットワーク(以下この項及び第九条第二項において「インターネット等」という。)を通じて提供し、主としてこれにより学修させる授業(次項において「印刷教材等による授業」という。)、主として放送その他これに準ずるもの(インターネット等を通じて提供する映像、音声等を含む。)の視聴により学修させる授業(次項及び第六条第二項において「放送授業」という。)、大学設置基準(昭和三十一年文部省令第二十八号)第二十五条第一項の方法による授業(第六条第二項及び第九条第三項において「面接授業」という。)若しくは同条第二項の方法による授業(第六条第二項において「メディアを利用して行う授業」という。)のいずれかにより又はこれらの併用により行うものとする。
2 印刷教材等による授業及び放送授業の実施に当たつては、添削等による指導を併せ行うものとする。
3 大学は、第一項の授業を、外国において履修させることができる。
第四条 授業は、年間を通じて適切に行うものとする。
(単位の計算方法)
第五条 各授業科目の単位数は、一単位の授業科目を四十五時間の学修を必要とする内容をもつて構成することを標準とし、第三条第一項に規定する授業の方法に応じ、当該授業による教育効果、授業時間外に必要な学修等を考慮して、おおむね十五時間から四十五時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもつて一単位として単位数を計算するものとする。ただし、芸術等の分野における個人指導による実技の授業については、大学が定める時間の授業をもつて一単位とすることができる。
2 前項の規定にかかわらず、卒業論文、卒業研究、卒業制作等の授業科目については、大学設置基準第二十一条第三項の定めるところによる。
(卒業の要件)
第六条 卒業の要件は、大学設置基準第三十二条第一項の定めるところによる。
2 前項の規定により卒業の要件として修得すべき単位数百二十四単位のうち三十単位以上は、面接授業又はメディアを利用して行う授業により修得するものとする。ただし、当該三十単位のうち十単位までは、放送授業により修得した単位で代えることができる。
(大学以外の教育施設等における学修)
第七条 大学は、大学設置基準第二十九条の定めるところにより単位を与えるほか、あらかじめ当該大学が定めた基準に照らして教育上適当であると認めるときは、通信教育の特性等を考慮して文部科学大臣が別に定める学修を当該大学における履修とみなし、その成果について単位を与えることができる。
(基幹教員数)
第八条 学校教育法第八十六条に規定する通信による教育を行う学部(以下「通信教育学部」という。)における基幹教員(教育課程の編成その他の学部の運営について責任を担う教員(助手を除く。)であつて、当該学部の教育課程に係る主要授業科目を担当するもの(専ら当該大学の教育研究に従事するものに限る。)又は一年につき八単位以上の当該学部の教育課程に係る授業科目を担当するものをいう。以下同じ。)の数は、別表第一により定める基幹教員の数以上とする。
2 昼間又は夜間において授業を行う学部が通信教育を併せ行う場合においては、当該学部が行う通信教育に係る収容定員四千人につき四人の基幹教員を増加するものとする。ただし、当該増加する基幹教員の数が当該学部の通信教育に係る学科又は課程における大学設置基準第十条の規定による基幹教員の数の二割に満たない場合には、当該基幹教員の数の二割の基幹教員を増加するものとする。
3 大学は、大学設置基準第三十一条第四項に規定する科目等履修生等を前二項の学部の収容定員を超えて相当数受け入れる場合においては、教育に支障のないよう、相当数の基幹教員を増加するものとする。
(校舎等の施設)
第九条 通信教育学部を置く大学は、教育研究に支障のないよう、当該学部に係る大学設置基準第三十六条第一項に掲げる施設を有する校舎並びに添削等による指導並びに印刷教材等の保管及び発送のための施設(第三項において「通信教育関係施設」という。)を有するものとする。
2 前項の校舎等の施設の面積は、別表第二のとおりとする。ただし、通信教育学部のみを置く大学であつて、インターネット等を利用して教室以外の場所のみにおいて授業を履修させるものについては、インターネット等を利用して行う授業の特性を踏まえた授業の設計その他の措置を当該大学が講じており、かつ、教育研究に支障がないと認められる場合は、この限りでない。
3 昼間又は夜間において授業を行う学部が通信教育を併せ行う場合にあつては、大学は、通信教育関係施設及び面接授業を行う施設について、教育に支障のないようにするものとする。
(通信教育学部の校地)
第十条 通信教育学部に係る校地の面積については、当該学部における教育に支障のないものとする。
(添削等のための組織等)
第十一条 大学は、添削等による指導及び教育相談を円滑に処理するため、適当な組織等を設けるものとする。
(教育課程等に関する事項の改善に係る先導的な取組に関する特例)
第十二条 この省令及び次条の規定により適用される大学設置基準の規定に定める教育課程又は施設及び設備等に関する事項に関し、その改善に係る実証的な成果の創出に資する先導的な取組を行うため特に必要があると認められる場合であつて、大学が、当該先導的な取組を行うとともに、教育研究活動等の状況について自ら行う点検、評価及び見直しの体制の整備、教育研究活動等の状況の積極的な公表並びに学生の教育上適切な配慮を行う大学であることの文部科学大臣の認定を受けたときには、文部科学大臣が別に定めるところにより、第九条第二項本文の規定及び同令第五十七条第一項に掲げる規定(次項において「特例対象規定」という。)の全部又は一部によらないことができる。
2 教育課程等特例認定大学(前項の規定により認定を受けた大学をいう。)は、特例対象規定の全部又は一部によらない教育を行うための教育課程又は施設及び設備等に関する事項を学則等に定め、公表するものとする。
(その他の基準)
第十三条 通信教育を行う大学の組織、編制、施設、設備その他通信教育を行う大学の設置又は大学における通信教育の開設に関する事項で、この省令に定めのないものについては、大学設置基準の定めるところによる。
附 則 抄
1 この省令は、昭和五十七年四月一日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。
2 昭和五十八年度に設置しようとする通信教育を行う大学の設置認可又は同年度に開設しようとする大学の通信教育の開設認可の申請に係る審査に当たつては、この省令の規定の適用があるものとする。
3 この省令施行の際、現に通信教育を開設している大学の組織、編制、施設及び設備で、この省令の施行の日前に係るものについては、当分の間、なお従前の例によることができる。
附 則 (昭和五九年一〇月三一日文部省令第五二号)
この省令は、公布の日から施行する。
附 則 (平成三年六月三日文部省令第二六号)
1 この省令は、平成三年七月一日から施行する。
2 この省令施行の日前に大学が行う通信教育の聴講生として授業科目を聴講し当該授業科目について聴講の成果の認定を受けている者で、当該大学に入学した場合には改正前の第八条の規定により当該聴講生としての聴講を当該大学における履修とみなし、その成果について単位を与えることができることとなるものについては、当該聴講生として授業科目を聴講し、その成果の認定を受けたことをもつて大学設置基準第三十一条第一項の科目等履修生として当該大学の通信教育における授業科目を履修し、単位を修得したものとみなす。
附 則 (平成一〇年三月三一日文部省令第一二号)
この省令は、公布の日から施行する。
附 則 (平成一一年九月一四日文部省令第四一号)
1 この省令は、公布の日から施行する。
2 この省令の施行の際現にされている認可の申請に係る審査については、なお従前の例による。
附 則 (平成一二年一〇月三一日文部省令第五三号) 抄
(施行期日)
第一条 この省令は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日(平成十三年一月六日)から施行する。
附 則 (平成一三年三月三〇日文部科学省令第四五号)
この省令は、公布の日から施行する。
附 則 (平成一三年一一月二七日文部科学省令第八一号)
(施行期日)
この省令は、公布の日から施行する。
附 則 (平成一五年三月三一日文部科学省令第一五号) 抄
(施行期日)
第一条 この省令は、平成十五年四月一日から施行する。
附 則 (平成一六年三月一二日文部科学省令第八号) 抄
(施行期日)
第一条 この省令は、平成十六年四月一日から施行する。
附 則 (平成一八年三月三一日文部科学省令第一一号) 抄
(施行期日)
第一条 この省令は、平成十九年四月一日から施行する。
附 則 (平成一九年七月三一日文部科学省令第二二号) 抄
(施行期日)
第一条 この省令は、平成二十年四月一日から施行する。
附 則 (平成一九年一二月二五日文部科学省令第四〇号) 抄
この省令は、学校教育法等の一部を改正する法律の施行の日(平成十九年十二月二十六日)から施行する。
附 則 (平成二六年三月二五日文部科学省令第一〇号) 抄
(施行期日)
1 この省令は、平成二十六年四月一日から施行する。
附 則 (令和四年九月三〇日文部科学省令第三四号) 抄
(施行期日)
第一条 この省令は、令和四年十月一日から施行する。
(認可の申請に係る審査に関する経過措置)
第二条 令和五年度に行おうとする大学の設置等(大学の設置等の認可の申請及び届出に係る手続等に関する規則(平成十八年文部科学省令第十二号)第一条に規定する大学の設置等をいう。以下同じ。)の認可の申請に係る審査については、なお従前の例による。
2 令和六年度に行おうとする大学の設置等の認可の申請に係る審査については、大学及び高等専門学校の選択により、なお従前の例によることができる。
3 令和七年度以後に行おうとする大学の設置等の認可(設置者の変更に係るものに限る。)の申請に係る審査については、前項の規定を準用する。
(届出に関する経過措置)
第三条 この省令の施行の日前にした大学の設置等の届出については、なお従前の例による。
2 前項の規定にかかわらず、令和五年度又は令和六年度に行おうとする大学の設置等の届出については、大学及び高等専門学校の選択により、なお従前の例によることができる。
(施設及び教員に関する経過措置)
第四条 この省令の施行の際現に設置されている大学及び高等専門学校に対する次の各号に掲げる規定の適用については、なお従前の例によることができる。
一 略
二 この省令による改正後の大学通信教育設置基準第九条第一項の規定(大学設置基準第三十六条第一項に掲げる施設を有する校舎に係る部分に限る。)及び大学通信教育設置基準中教員に関する規定
2 前項の規定にかかわらず、令和七年度以後に行おうとする大学の設置等の認可(設置者の変更に係るものを除く。)の申請又は届出をする場合には、当該認可の申請又は届出に係る大学又は高等専門学校については、この省令による改正後のそれぞれの省令の規定を適用する。
別表第一 通信教育学部の基幹教員数(第八条関係)
学部の種類 |
収容定員八、〇〇〇人の場合の基幹教員数 |
収容定員一二、〇〇〇人の場合の基幹教員数 |
収容定員一六、〇〇〇人の場合の基幹教員数 |
文学関係 |
一七 |
二一 |
二五 |
教育学・保育学関係 |
一七 |
二一 |
二五 |
法学関係 |
二一 |
二三 |
二七 |
経済学関係 |
二一 |
二三 |
二七 |
社会学・社会福祉学関係 |
二一 |
二三 |
二七 |
理学関係 |
二一 |
二三 |
二七 |
工学関係 |
二一 |
二三 |
二七 |
家政関係 |
一七 |
二一 |
二五 |
美術関係 |
一七 |
二一 |
二五 |
音楽関係 |
一七 |
二一 |
二五 |
備考
一 この表に定める基幹教員数の半数以上は原則として教授とすることとし、四分の三以上は専ら当該大学の教育研究に従事する教員とする。
二 この表に定める基幹教員数には、一の基幹教員は、同一大学ごとに一の学部についてのみ算入するものとする。ただし、複数の学部(他の大学に置かれる学部又は短期大学に置かれる学科を含む。以下この号において同じ。)において、それぞれ一年につき八単位以上の当該学部の教育課程に係る授業科目を担当する基幹教員は、当該学部について当該基幹教員数の四分の一の範囲内で算入することができる。
三 収容定員が八、〇〇〇人未満の場合には、収容定員八、〇〇〇人として取り扱うものとする。
四 収容定員がこの表に定める数を超える場合は、その超える収容定員に応じて四、〇〇〇人につき基幹教員三人の割合により算出される数の基幹教員を増加するものとする。
五 この表に定める基幹教員数は、一の学部を置く大学が当該学部を一学科で組織する場合の基幹教員数とし、二以上の学科で組織する場合又は二以上の学部を置く場合にあつては、共通する授業科目を勘案して、それぞれ相当数の基幹教員を増加し、又は減ずるものとする。
六 この表に掲げる学部以外の学部における基幹教員数については、当該学部に類似するこの表に掲げる学部の例によるものとする。ただし、この表によることが適当でない場合については、別に定める。
別表第二 通信教育学部の校舎等面積(第九条関係)
学部の種類 |
収容定員四、〇〇〇人の場合の面積(平方メートル) |
収容定員八、〇〇〇人の場合の面積(平方メートル) |
収容定員一二、〇〇〇人の場合の面積(平方メートル) |
収容定員一六、〇〇〇人の場合の面積(平方メートル) |
文学関係 |
三、四四〇 |
五、七九〇 |
八、三九〇 |
一一、〇〇〇 |
教育学・保育学関係 |
三、四四〇 |
五、七九〇 |
八、三九〇 |
一一、〇〇〇 |
法学関係 |
三、六九〇 |
六、〇四〇 |
八、五二〇 |
一一、一三〇 |
経済学関係 |
三、六九〇 |
六、〇四〇 |
八、五二〇 |
一一、一三〇 |
社会学・社会福祉学関係 |
三、六九〇 |
六、〇四〇 |
八、五二〇 |
一一、一三〇 |
理学関係 |
七、六六〇 |
一三、五六〇 |
一九、六三〇 |
二五、八七〇 |
工学関係 |
八、七五〇 |
一五、四九〇 |
二二、四二〇 |
二九、五五〇 |
家政関係 |
五、五二〇 |
九、六六〇 |
一四、一二〇 |
一八、五九〇 |
美術関係 |
五、三四〇 |
九、三五〇 |
一三、六七〇 |
一八、〇〇〇 |
音楽関係 |
四、七八〇 |
八、三七〇 |
一二、二三〇 |
一六、一〇〇 |
備考
一 この表には、大学設置基準第三十五条のスポーツ施設、講堂及び厚生補導施設並びに同令第三十九条の附属施設の面積は含まない。
二 収容定員が四、〇〇〇人未満の場合にあつては、学科並びに収容定員及び基幹教員数に応じて二割の範囲内においてこの表に定める面積を減ずることができるものとし、この表に定める収容定員を超える場合にあつては、教育に支障のないよう、その超える収容定員に応じてこの表に定める面積を増加するものとする。
三 大学設置基準第三十一条第四項に規定する科目等履修生等を当該学部の収容定員を超えて相当数受け入れる場合においては、教育に支障のないよう、この表に定める面積を増加するものとする。
四 二以上の学部を置く大学は、各学部が共同に使用する建物があるときは、教育に支障のない限度において、この表に定める面積を減ずることができる。
五 この表に掲げる学部以外の学部における面積については、当該学部に類似するこの表に掲げる学部の例によるものとする。ただし、この表によることが適当でない場合については、別に定める。