(信書の検査)
第九十三条 少年鑑別所の長は、その指名する職員に、被観護在所者が発受する信書について、検査を行わせるものとする。
2 次に掲げる信書については、前項の検査は、これらの信書に該当することを確認するために必要な限度において行うものとする。ただし、第三号に掲げる信書について、少年鑑別所の規律及び秩序を害する結果又は被観護在所者の保護事件若しくは刑事事件に関する証拠の隠滅の結果を生ずるおそれがあると認めるべき特別の事情がある場合は、この限りでない。
一 被観護在所者が付添人等又は弁護人等から受ける信書
二 被観護在所者が国又は地方公共団体の機関から受ける信書
三 被観護在所者が自己に対する少年鑑別所の長の措置その他自己が受けた観護処遇又は鑑別に関し
弁護士法第三条第一項に規定する職務を遂行する弁護士(弁護士法人を含む。以下この款において同じ。)から受ける信書
3 少年鑑別所の長は、少年鑑別所の規律及び秩序を害する結果を生じ、又は被観護在所者の保護事件若しくは刑事事件に関する証拠の隠滅の結果を生ずるおそれがないと認める場合には、前二項の規定にかかわらず、第一項の検査を行わせないことができる。
(信書の内容による差止め等)
第九十四条 少年鑑別所の長は、前条の規定による検査の結果、被観護在所者が発受する信書について、その全部又は一部が次の各号のいずれかに該当する場合には、その発受を差し止め、又はその該当箇所を削除し、若しくは抹消することができる。同条第二項各号に掲げる信書について、これらの信書に該当することを確認する過程においてその全部又は一部が次の各号のいずれかに該当することが判明した場合も、同様とする。
一 暗号の使用その他の理由によって、少年鑑別所の職員が理解できない内容のものであるとき。
二 発受によって、刑罰法令に触れる行為をすることとなり、又は犯罪若しくは非行を助長し、若しくは誘発するおそれがあるとき。
三 発受によって、少年鑑別所の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるとき。
四 威迫にわたる記述又は明らかな虚偽の記述があるため、受信者を著しく不安にさせ、又は受信者に損害を被らせるおそれがあるとき。
六 発受によって、被観護在所者の保護事件又は刑事事件に関する証拠の隠滅の結果を生ずるおそれがあるとき。
七 発受によって、被観護在所者の健全な育成を著しく妨げるおそれがあるとき。
八 被観護在所者が鑑別対象者である場合において、発受によって、その鑑別の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるとき。
2 前項の規定にかかわらず、被観護在所者が国又は地方公共団体の機関との間で発受する信書であってその機関の権限に属する事項を含むもの及び被観護在所者が弁護士との間で発受する信書であってその被観護在所者に係る
弁護士法第三条第一項に規定する弁護士の職務に属する事項を含むものについては、その発受の差止め又はその事項に係る部分の削除若しくは抹消は、その部分の全部又は一部が前項第一号から第三号まで又は第六号のいずれかに該当する場合に限り、これを行うことができる。
(信書に関する制限)
第九十五条 少年鑑別所の長は、法務省令で定めるところにより、被観護在所者が発する信書の作成要領、その発信の申請の日及び時間帯、被観護在所者が発信を申請する信書(付添人等又は弁護人等に対して発するものを除く。)の通数並びに被観護在所者の信書の発受の方法について、少年鑑別所の管理運営上必要な制限をすることができる。
2 前項の規定により被観護在所者が発信を申請する信書の通数について制限をするときは、その通数は、一日につき一通を下回ってはならない。
(発信に要する費用)
第九十六条 信書の発信に要する費用については、被観護在所者が負担することができない場合において、少年鑑別所の長が発信の目的に照らし相当と認めるときは、その全部又は一部を国庫の負担とする。
(発受を禁止した信書等の取扱い)
第九十七条 少年鑑別所の長は、第九十四条又は第百七条第三項の規定により信書の発受を差し止め、又は禁止した場合にはその信書を、第九十四条の規定により信書の一部を削除した場合にはその削除した部分を保管するものとする。
2 少年鑑別所の長は、第九十四条の規定により信書の記述の一部を抹消する場合には、その抹消する部分の複製を作成し、これを保管するものとする。
3 少年鑑別所の長は、被観護在所者の退所の際、前二項の規定により保管する信書の全部若しくは一部又は複製(以下「発受禁止信書等」という。)をその者又はその親権を行う者等に引き渡すものとする。
4 少年鑑別所の長は、被観護在所者が死亡した場合には、法務省令で定めるところにより、その遺族等に対し、その申請に基づき、発受禁止信書等を引き渡すものとする。
5 前二項の規定にかかわらず、発受禁止信書等の引渡しにより少年鑑別所の規律及び秩序の維持に支障を生ずるおそれがあるときは、これを引き渡さないものとする。次に掲げる場合において、その引渡しにより少年鑑別所の規律及び秩序の維持に支障を生ずるおそれがあるときも、同様とする。
一 退所した被観護在所者又はその親権を行う者等が、被観護在所者の退所後に、発受禁止信書等の引渡しを求めたとき。
二 被観護在所者が第六十三条第一項各号のいずれかに該当する場合において、その被観護在所者又はその親権を行う者等が、発受禁止信書等の引渡しを求めたとき。
6 第六十二条第一項、第六十三条第一項並びに第六十四条第二項及び第三項の規定は、被観護在所者に係る発受禁止信書等(前項の規定により引き渡さないこととされたものを除く。)について準用する。この場合において、同条第三項中「第一項の申請」とあるのは、「第九十七条第四項の申請」と読み替えるものとする。
7 第五項の規定により引き渡さないこととした発受禁止信書等は、被観護在所者の退所若しくは死亡の日又は被観護在所者が第六十三条第一項各号のいずれかに該当することとなった日から起算して三年を経過した日に、国庫に帰属する。
(被観護在所者作成の文書図画)
第九十八条 少年鑑別所の長は、被観護在所者が、その作成した文書図画(信書を除く。)を他の者に交付することを申請した場合には、その交付につき、被観護在所者が発する信書に準じて検査その他の措置を執ることができる。