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(平成十六年法律第百十七号)
施行日: 平成二十九年七月一日
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武力攻撃事態及び存立危機事態における捕虜等の取扱いに関する法律
平成十六年法律第百十七号
武力攻撃事態及び存立危機事態における捕虜等の取扱いに関する法律
目次
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、武力攻撃事態及び存立危機事態における捕虜等の拘束、抑留その他の取扱いに関し必要な事項を定めることにより、武力攻撃又は存立危機武力攻撃を排除するために必要な自衛隊の行動が円滑かつ効果的に実施されるようにするとともに、武力攻撃事態及び存立危機事態において捕虜の待遇に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約(以下「第三条約」という。)その他の捕虜等の取扱いに係る国際人道法の的確な実施を確保することを目的とする。
(基本原則)
第二条 国は、武力攻撃事態及び存立危機事態においてこの法律の規定により拘束され又は抑留された者(以下この条において「捕虜等」という。)の取扱いに当たっては、第三条約その他の国際的な武力紛争において適用される国際人道法に基づき、常に人道的な待遇を確保するとともに、捕虜等の生命、身体、健康及び名誉を尊重し、これらに対する侵害又は危難から常に保護しなければならない。
2 この法律(これに基づく命令を含む。)の規定により捕虜等に対して与えられる保護は、人種、国籍、宗教的又は政治的意見その他これに類する基準に基づく不当に差別的なものであってはならない。
3 何人も、捕虜等に対し、武力攻撃又は存立危機武力攻撃に対する報復として、いかなる不利益をも与えてはならない。
(定義)
第三条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 武力攻撃 武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号。以下この条において「事態対処法」という。)第二条第一号に規定する武力攻撃をいう。
二 武力攻撃事態 事態対処法第二条第二号に規定する武力攻撃事態をいう。
三 存立危機武力攻撃 事態対処法第二条第八号ハ(1)に規定する存立危機武力攻撃をいう。
四 存立危機事態 事態対処法第二条第四号に規定する存立危機事態をいう。
五 敵国軍隊等 武力攻撃事態又は存立危機事態において、武力攻撃又は存立危機武力攻撃を行っている外国の軍隊その他これに類する組織をいう。
六 抑留対象者 次のイからルまでのいずれかに該当する外国人をいう。
イ 敵国軍隊等の構成員(ホ、ト、リ及びヌに掲げる者を除く。)
ロ 敵国軍隊等に随伴する者(敵国軍隊等の構成員を除く。)であって、当該敵国軍隊等からその随伴を許可されているもの(ヘ及びチに掲げる者を除く。)
ハ 船舶(軍艦及び各国政府が所有し又は運航する船舶であって非商業的目的のみに使用されるもの(以下「軍艦等」という。)を除く。)であって敵国軍隊等の軍艦等に警護されるもの又は武力攻撃事態及び存立危機事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律(平成十六年法律第百十六号)第二条第三号に規定する外国軍用品等(ニにおいて「外国軍用品等」という。)を輸送しているものの乗組員(武力攻撃又は存立危機武力攻撃を行っている外国の国籍を有する者に限る。)
ニ 国際民間航空条約第三条に規定する民間航空機であって敵国軍用航空機(敵国軍隊等に属し、かつ、その軍用に供する航空機をいう。)に警護されるもの又は外国軍用品等を輸送しているものの乗組員(同条約第三十二条(a)に規定する運航乗組員であって、武力攻撃又は存立危機武力攻撃を行っている外国の国籍を有するものに限る。)
ホ 戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約(以下「第一条約」という。)第二十四条に規定する傷者若しくは病者の捜索、収容、輸送若しくは治療若しくは疾病の予防に専ら従事する衛生要員又は敵国軍隊等の衛生部隊及び衛生施設の管理に専ら従事する職員
ヘ 第一条約第二十六条第一項に規定する武力攻撃又は存立危機武力攻撃を行っている外国の赤十字社その他の篤志救済団体で当該外国の政府が正当に認めたものの職員のうち、ホに掲げる者と同一の任務に当たるもの
ト 第一条約第二十四条に規定する敵国軍隊等に随伴する宗教要員
チ 第一条約第二十六条第一項に規定する武力攻撃又は存立危機武力攻撃を行っている外国の赤十字社その他の篤志救済団体で当該外国の政府が正当に認めたものの職員のうち、トに掲げる者と同一の任務に当たるもの
リ 敵国軍隊等の構成員であって、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書Ⅰ)(以下「第一追加議定書」という。)第四十四条3に規定する義務に違反し、捕虜として取り扱われる権利を失うこととなるもの
ヌ 敵国軍隊等の構成員であって、第一追加議定書第四十六条の規定により間ちよう として取り扱われることとなるもの
ル 第一追加議定書第四十七条2に規定するよう
七 捕虜 第二章第三節又は第四章第二節に規定する手続により前号イからニまでに掲げる外国人に該当する旨の抑留資格認定又は裁決を受けて抑留される者をいう。
八 衛生要員 第二章第三節又は第四章第二節に規定する手続により第六号ホ又はヘに掲げる外国人に該当する旨の抑留資格認定又は裁決を受けて抑留される者をいう。
九 宗教要員 第二章第三節又は第四章第二節に規定する手続により第六号ト又はチに掲げる外国人に該当する旨の抑留資格認定又は裁決を受けて抑留される者をいう。
十 区別義務違反者 第二章第三節又は第四章第二節に規定する手続により第六号リに掲げる外国人に該当する旨の抑留資格認定又は裁決を受けて抑留される者をいう。
十一 間諜 第二章第三節又は第四章第二節に規定する手続により第六号ヌに掲げる外国人に該当する旨の抑留資格認定又は裁決を受けて抑留される者をいう。
十二 傭兵 第二章第三節又は第四章第二節に規定する手続により第六号ルに掲げる外国人に該当する旨の抑留資格認定又は裁決を受けて抑留される者をいう。
十三 資格認定審査請求 第十四条第一項、第十七条第四項及び第百六条第一項の規定による抑留資格認定に関する審査の請求をいう。
十四 懲戒審査請求 第百二十五条の規定による懲戒処分に関する審査の請求をいう。
十五 捕虜収容所 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第二十四条第三項に規定する捕虜収容所をいう。
十六 捕虜収容所長 自衛隊法第二十九条の二第二項に規定する所長をいう。
十七 捕虜代表 第三条約第八十条に規定する任務を遂行する者として、捕虜収容所長から指名されたものをいう。
十八 利益保護国 第一追加議定書第二条(c)に規定する利益保護国をいう。
十九 利益保護国代理 第一追加議定書第二条(d)に規定する代理をいう。
二十 利益保護国代表 我が国領域内において第三条約又は第一追加議定書の規定による利益保護国又は利益保護国代理としての任務を遂行する者であって、我が国政府が承認を与えたものをいう。
第二章 拘束及び抑留資格認定の手続
第一節 拘束
(拘束措置)
第四条 自衛隊法第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の自衛官(以下「出動自衛官」という。)は、武力攻撃が発生した事態又は存立危機事態において、服装、所持品の形状、周囲の状況その他の事情に照らし、抑留対象者に該当すると疑うに足りる相当の理由がある者があるときは、これを拘束することができる。
(危険物等の検査)
第五条 出動自衛官は、前条の規定により拘束した者(以下「被拘束者」という。)については、その所持品又は身体について危険物(銃砲、銃剣、銃砲弾、爆発物その他の軍用の武器及びこれらに準ずる物であって、人の生命又は身体に危険を生じさせるものをいう。次項において同じ。)又は軍用書類(地図、軍用規則、命令書、計画書その他の軍用に供する書類をいう。以下同じ。)を所持しているかどうかを調べることができる。
2 出動自衛官は、前項の規定による検査の結果、危険物又は軍用書類を発見したときは、次条第一項又は第二項の規定による引渡しの時までこれを取り上げ、又は直ちに廃棄することができる。
(被拘束者の引渡し等)
第六条 出動自衛官は、第四条の規定による拘束をしたときは、防衛大臣の定めるところにより、速やかに、被拘束者を指定部隊長(自衛隊法第八条に規定する部隊等であって、連隊、自衛艦その他の防衛省令で定めるものの長をいう。以下同じ。)に引き渡さなければならない。
2 出動自衛官は、前項の規定にかかわらず、指定部隊長よりも近傍に抑留資格認定官(方面総監、地方総監又は航空方面隊司令官その他政令で定める部隊等の長をいう。以下同じ。)が所在するときは、防衛大臣の定めるところにより、被拘束者を当該抑留資格認定官に引き渡すことができる。
3 出動自衛官は、前二項の規定による引渡しをする場合には、防衛省令で定めるところにより、拘束の日時及び場所その他必要な事項をその引渡しをする指定部隊長又は抑留資格認定官に報告しなければならない。
(被拘束者に対する特例措置)
第七条 出動自衛官は、前条第一項又は第二項の規定にかかわらず、被拘束者の心身の状況、利用可能な輸送手段その他の事情を考慮し、被拘束者がこれらの規定による引渡しのための移動に耐えられないと認めるに足りる相当の理由があるときは、戦闘行為の直接の危険から回避することができる近傍の場所への移動、適切な医薬品等の給与その他の当該被拘束者の状況に応じて可能な範囲の安全措置を講じた上で、直ちに当該被拘束者を放免することができる。
第二節 指定部隊長による確認
(指定部隊長による確認)
第八条 指定部隊長は、第六条第一項の規定により被拘束者の引渡しを受けたときは、速やかに、当該被拘束者について、その氏名、階級又は地位(以下「階級等」という。)、生年月日及び身分証明書番号等(身分証明書番号、個人番号その他これに類する個人を識別するために付された数字、記号又は符号をいう。以下同じ。)を確認しなければならない。
2 指定部隊長は、前項の規定による確認を行うために必要な範囲内において、被拘束者に対し、質問し、又は身分証明書その他の所持品を検査することができる。
3 指定部隊長は、第一項の規定による確認の結果について、確認記録を作成しなければならない。
4 確認記録には、次に掲げる事項を記載し、かつ、指定部隊長がその識別符号(個人を識別するために防衛大臣の定めるところにより指定部隊長に付された数字、記号又は符号をいう。)を記入しなければならない。
一 被拘束者の氏名、階級等、生年月日及び身分証明書番号等
二 拘束の日時及び場所
三 作成年月日
四 その他防衛省令で定める事項
5 指定部隊長は、防衛大臣の定めるところによりその指揮監督する自衛官の中から指定した者に、第二項の規定による処分を行わせることができる。
(確認後の措置)
第九条 指定部隊長は、前条第一項の規定による確認の結果、被拘束者が抑留対象者に該当しないと判断したときは、直ちに、当該被拘束者にその旨の通知をしなければならない。
2 前項の通知をする場合には、指定部隊長は、当該被拘束者に対し、次条に規定する抑留資格認定官による抑留資格認定を受けることができる旨を告知しなければならない。
3 第一項の場合において、被拘束者が抑留対象者に該当しない旨の判断に同意したときは、指定部隊長は、当該被拘束者に対し、当該判断に同意する旨を記載した文書に署名させるとともに、前条第四項の規定による確認記録の写しを交付の上、直ちにこれを放免しなければならない。
4 前項の規定により放免する場合を除き、指定部隊長は、防衛大臣の定めるところにより、遅滞なく、被拘束者を確認記録とともに管轄の抑留資格認定官に引き渡さなければならない。
第三節 抑留資格認定
(抑留資格認定)
第十条 抑留資格認定官は、第六条第二項又は前条第四項の規定により被拘束者の引渡しを受けたときは、速やかに、当該被拘束者が抑留対象者に該当するかどうかの認定(抑留対象者に該当する場合にあっては、第三条第六号イからルまでのいずれに該当するかの認定を含む。以下「抑留資格認定」という。)をしなければならない。
(抑留資格認定のための調査)
第十一条 抑留資格認定官は、抑留資格認定のため必要があるときは、被拘束者を取り調べることができる。
2 抑留資格認定官は、抑留資格認定のため必要があるときは、参考人の出頭を求め、当該参考人を取り調べることができる。この場合において、当該参考人が他の抑留資格認定官の管理する収容区画等(第百七十二条第一項に規定する区画又は施設をいう。)に留め置かれ、又は捕虜収容所に収容されている者であるときは、抑留資格認定官は、当該他の抑留資格認定官又は捕虜収容所長に対し、当該参考人の取調べを依頼することができる。
3 抑留資格認定官は、抑留資格認定のため必要があるときは、被拘束者の所持品又は身体の検査をすることができる。ただし、女性の被拘束者の身体を検査する場合には、緊急を要するときを除き、女性の自衛隊員(自衛隊法第二条第五項に規定する隊員をいう。第百六十八条第一項において同じ。)にこれを行わせなければならない。
4 抑留資格認定官は、抑留資格認定のため必要があるときは、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
5 抑留資格認定官は、防衛大臣の定めるところによりその指揮監督する自衛官の中から指定した者(以下この節において「認定補佐官」という。)に、前各項の規定による調査を行わせることができる。
(認定調査記録の作成)
第十二条 抑留資格認定官は、前条第一項から第四項までの規定による調査を行ったときは、その結果について、認定調査記録を作成し、かつ、自らこれに署名しなければならない。ただし、同条第五項の規定により認定補佐官が当該調査を行ったときは、当該認定補佐官が、その認定調査記録を作成し、かつ、これに署名するものとする。
2 前条第二項の規定により参考人の取調べを依頼された抑留資格認定官又は捕虜収容所長についても、前項と同様とする。
(放免)
第十三条 抑留資格認定官は、調査の結果、被拘束者が抑留対象者に該当しない旨の抑留資格認定をしたときは、防衛省令で定めるところにより、直ちに、当該被拘束者にその旨の通知をしなければならない。
2 前項の通知をする場合には、抑留資格認定官は、当該被拘束者に対し、次条第一項の規定による資格認定審査請求をすることができる旨を告知しなければならない。
3 第一項の場合において、被拘束者が同項の抑留資格認定に同意したときは、抑留資格認定官は、当該被拘束者に対し、当該認定に同意する旨を記載した文書に署名させるとともに、次項の規定による放免書を交付の上、直ちにこれを放免しなければならない。第一項の通知を受けた被拘束者が次条第一項の規定による資格認定審査請求をしなかったときも、同様とする。
4 前項の規定により交付される放免書には、次に掲げる事項を記載し、かつ、抑留資格認定官がこれに記名押印しなければならない。
一 被拘束者の氏名及び生年月日
二 拘束の日時及び場所
三 放免の理由
四 交付年月日
五 その他防衛省令で定める事項
(資格認定審査請求)
第十四条 前条第一項の通知を受けた被拘束者は、同項の抑留資格認定に不服があるときは、その通知を受けた時から二十四時間以内に、政令で定めるところにより、不服の理由を記載した書面(次項において「審査請求書」という。)を抑留資格認定官に提出して、捕虜資格認定等審査会に対し、資格認定審査請求をすることができる。
2 抑留資格認定官は、前項の資格認定審査請求があったときは、捕虜資格認定等審査会に対し、審査請求書、認定調査記録その他の関係書類を送付しなければならない。
(仮収容)
第十五条 抑留資格認定官は、被拘束者が前条第一項の資格認定審査請求をしたときは、次項の規定による仮収容令書を発付し、当該被拘束者を仮に収容するものとする。
2 前項の規定により発付される仮収容令書には、次に掲げる事項を記載し、かつ、抑留資格認定官がこれに記名押印しなければならない。
一 被拘束者の氏名及び生年月日
二 拘束の日時及び場所
三 発付年月日
四 その他防衛省令で定める事項
3 仮収容令書は、認定補佐官が執行するものとする。
4 認定補佐官は、仮収容令書を執行するときは、その仮に収容される者に仮収容令書を示して、速やかに、その者を捕虜収容所長に引き渡さなければならない。
5 捕虜収容所長は、前項の規定による引渡しを受けたときは、当該引渡しを受けた者を捕虜収容所に収容するものとする。
(抑留資格認定に係る処分)
第十六条 抑留資格認定官は、被拘束者が抑留対象者(第三条第六号ロ、ハ又はニに掲げる者(以下この条、次条及び第百二十一条第二項において「軍隊等非構成員捕虜」という。)を除く。)に該当する旨の抑留資格認定をしたときは、防衛省令で定めるところにより、直ちに、当該被拘束者にその旨の通知をしなければならない。
2 抑留資格認定官は、被拘束者が抑留対象者(軍隊等非構成員捕虜に限る。)に該当する旨の抑留資格認定をする場合においては、併せて、当該被拘束者を抑留する必要性についての判定をしなければならない。この場合において、当該被拘束者の抑留は、武力攻撃又は存立危機武力攻撃を排除するために必要な自衛隊の行動を円滑かつ効果的に実施するため特に必要と認めるときに限るものとし、抑留資格認定官は、あらかじめ、その判定について、防衛大臣の承認を得なければならない。
3 抑留資格認定官は、被拘束者が抑留対象者(軍隊等非構成員捕虜に限る。)に該当する旨の抑留資格認定をしたときは、防衛省令で定めるところにより、直ちに、当該被拘束者にその旨及び前項の判定の結果を通知しなければならない。
4 第一項又は前項の通知をする場合には、被拘束者(軍隊等非構成員捕虜に該当する旨の抑留資格認定を受け、かつ、第二項の規定により抑留する必要性がない旨の判定を受けた者を除く。)に対し、第百六条第一項の資格認定審査請求をすることができる旨を告知しなければならない。
5 抑留資格認定官は、第一項又は第三項の通知及び前項の告知をした後、同項に規定する被拘束者に対し、速やかに、第十八条の規定による抑留令書を発付し、これを抑留するものとする。
(放免)
第十七条 抑留資格認定官は、被拘束者(軍隊等非構成員捕虜に該当する旨の抑留資格認定を受け、かつ、前条第二項の規定により抑留する必要性がない旨の判定を受けた者に限る。)に対し、同条第三項の通知をする場合には、第四項の資格認定審査請求をすることができる旨を告知しなければならない。
2 前項の場合において、同項に規定する被拘束者が、軍隊等非構成員捕虜に該当する旨の抑留資格認定及び前条第二項の規定による抑留する必要性がない旨の判定に同意したときは、これに同意する旨を記載した文書に署名させるとともに、次項の規定による放免書を交付の上、直ちにこれを放免しなければならない。前項に規定する被拘束者が第四項の資格認定審査請求をしなかったときも、同様とする。
3 前項の規定により交付する放免書には、次に掲げる事項を記載し、抑留資格認定官がこれに記名押印しなければならない。
一 被拘束者の氏名、階級等、生年月日及び身分証明書番号等
二 拘束の日時及び場所
三 放免の理由
四 交付年月日
五 その他防衛省令で定める事項
4 第一項に規定する被拘束者は、軍隊等非構成員捕虜に該当する旨の抑留資格認定又は前条第二項の規定による抑留する必要性がない旨の判定に不服があるときは、同条第三項の通知を受けた時から二十四時間以内に、政令で定めるところにより、不服の理由を記載した書面を抑留資格認定官に提出して、捕虜資格認定等審査会に対し、資格認定審査請求をすることができる。
5 第十四条第二項及び第十五条の規定は、前項の資格認定審査請求があった場合について準用する。
(抑留令書の方式)
第十八条 第十六条第五項の規定により発付される抑留令書には、次に掲げる事項を記載し、抑留資格認定官がこれに記名押印しなければならない。
一 被拘束者の氏名、階級等、生年月日及び身分証明書番号等
二 拘束の日時及び場所
三 抑留資格(抑留資格認定において当該被拘束者が該当すると認められた第三条第六号イからルまでの区分をいう。以下同じ。)
四 発付年月日
五 その他防衛省令で定める事項
(抑留令書の執行)
第十九条 抑留令書は、認定補佐官が執行する。
2 認定補佐官は、抑留令書を執行するときは、その抑留される者に抑留令書を示して、速やかに、その者を捕虜収容所長に引き渡さなければならない。
3 捕虜収容所長は、前項の規定による引渡しを受けたときは、当該引渡しを受けた者を捕虜収容所に収容するものとする。
(逃走者に対する措置)
第二十条 抑留資格認定官は、第六条第二項又は第九条第四項の規定により被拘束者の引渡しを受けた場合において、当該被拘束者が抑留令書によって抑留されていた者であって逃走したものであることが判明したときは、第十六条の規定にかかわらず、当該被拘束者に対し、当該抑留令書により再び抑留する旨を告げた上、直ちにこれを捕虜収容所長に引き渡すものとする。
2 捕虜収容所長は、前項の規定による引渡しを受けたときは、その引渡しを受けた者に対し、できる限り速やかに抑留令書を示さなければならない。
(防衛省令への委任)
第二十一条 この節に定めるもののほか、抑留資格認定の手続に必要な事項は、防衛省令で定める。
第四節 他の法令による手続との関係等
(他の法令による身体拘束手続との関係)
第二十二条 抑留資格認定官は、次に掲げる者であって抑留対象者に該当すると思料するものがある場合には、第四条の規定によりその身体を拘束しないときであっても、その者について第十一条(第三項を除く。)の規定の例により抑留資格認定のための調査を行うことができる。
一 刑事事件又は少年の保護事件に関する法令の規定によりその身体を拘束されている者
二 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第四十条に規定する収容令書又は入管法第五十一条に規定する退去強制令書の発付を受けて収容されている者
2 抑留資格認定官は、前項の規定による調査の結果、同項第二号に掲げる者が抑留対象者に該当すると認めるときは、その者について、第十六条の規定の例により、抑留令書を発付した上、入国警備官(入管法第二条第十三号に規定する入国警備官をいう。)からその者の引渡しを受け、これを抑留することができる。
(第三条約の締約国からの移入)
第二十三条 抑留資格認定官は、第三条約の我が国以外の締約国の軍隊その他これに類する組織によりその身体を拘束されている外国人であって抑留対象者に該当すると思料するものがある場合には、防衛大臣の定めるところにより、第四条の規定によりその身体を拘束しないときであっても、その者について第十一条(第三項を除く。)の規定の例により抑留資格認定のための調査を行うことができる。
2 前項の規定による調査の結果、同項の外国人が抑留対象者に該当し、かつ、我が国において抑留することが相当であると認めるときは、当該外国人について、第十六条の規定の例により、抑留令書を発付した上、同項の締約国の官憲から当該外国人の引渡しを受け、これを抑留することができる。
第三章 捕虜収容所における抑留及び処遇
第一節 通則
(基本原則)
第二十四条 捕虜収容所長は、捕虜収容所の適正な管理運営を図り、被収容者(抑留令書により捕虜収容所に収容されている捕虜、衛生要員、宗教要員、区別義務違反者、間諜及び傭兵並びに仮収容令書により捕虜収容所に収容されている者(以下「仮収容者」という。)をいう。以下同じ。)の人権を尊重しつつ、被収容者の抑留資格、階級等、性別及び年齢、その属する国における風俗慣習及び生活様式等に応じた適切な処遇を行うものとする。
2 被収容者には、捕虜収容所の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障がない範囲内において、できる限りの自由が与えられなければならない。
(利益保護国等への配慮)
第二十五条 捕虜収容所長は、利益保護国代表並びに指定赤十字国際機関(赤十字国際機関であって政令で定めるものをいう。以下同じ。)及び指定援助団体(防衛大臣が指定する被収容者への援助を目的とする団体をいう。以下同じ。)の代表が第三条約及び第一追加議定書の規定により遂行するそれらの任務を尊重し、その遂行に支障が生じないよう特に配慮しなければならない。
(階級等の区分)
第二十六条 捕虜収容所長は、被収容者(仮収容者を除く。)について、その階級等に応じた適切な処遇を行うため、防衛大臣の定める階級等の基準に従い、将校、准士官、下士官及び兵の区分を指定するものとする。
第二節 収容の開始
(収容開始時の告知)
第二十七条 捕虜収容所長は、被収容者に対し、その収容の開始に際し、次に掲げる事項を告知するものとする。
一 保健衛生及び医療に関する事項
二 宗教に関する事項
三 第四十四条第一項に規定する遵守事項
四 懲戒処分に関する事項
五 物品の貸与等及び自弁に関する事項
六 書籍等の閲覧に関する事項
七 面会及び信書の発受に関する事項
八 苦情の申出に関する事項
2 前項の規定による告知は、防衛省令で定めるところにより、書面で行う。
(写真撮影・指紋の採取)
第二十八条 捕虜収容所長は、被収容者につき、その収容の開始に際し、防衛省令で定めるところにより、その者の識別のため必要な限度で、写真の撮影、指紋の採取その他の措置をとるものとする。その後必要が生じたときも、同様とする。
第三節 保健衛生及び医療
(保健衛生及び医療の原則)
第二十九条 捕虜収容所においては、被収容者の心身の状況を把握することに努め、被収容者の健康及び捕虜収容所内の衛生を保持するため適切な保健衛生上又は医療上の措置を講ずるものとする。
(被収容者の清潔義務)
第三十条 被収容者は、身体、着衣及び所持品並びに居住区画(被収容者が主として休息及び就寝のために使用する場所として捕虜収容所長が指定した区画をいう。第四十五条において同じ。)その他日常使用する場所を清潔にしなければならない。
(健康診断)
第三十一条 捕虜収容所においては、収容の開始後速やかに、及び毎月一回以上定期的に、被収容者の健康診断を行うものとする。捕虜収容所における保健衛生上必要があるときも、同様とする。
2 被収容者は、前項の規定による健康診断を受けなければならない。この場合においては、その健康診断の実施のため必要な限度内における採血、エックス線撮影その他の医学的処置を拒むことはできない。
(医療)
第三十二条 捕虜収容所長は、被収容者が負傷し、若しくは疾病にかかった場合又はこれらの疑いがある場合には、速やかに、防衛省令で定めるところにより、診療その他必要な措置を講ずるものとする。
2 捕虜収容所長は、前項に規定する措置を講ずるに当たっては、その措置を受ける被収容者の意思を十分に尊重するとともに、被収容者がその属する国の衛生要員による診療を受けることができるよう配慮しなければならない。
3 捕虜収容所長は、被収容者が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第十二条第一項各号に掲げる者に該当すると認めるときは、防衛大臣の定めるところにより、当該被収容者の隔離、入院その他の必要な措置を講ずるものとする。
(医師相当衛生要員等)
第三十三条 捕虜及び衛生要員のうち、捕虜収容所長が外国において医師に相当する資格を有する者と認めたもの(以下「医師相当衛生要員等」という。)は、医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十七条の規定にかかわらず、自衛隊病院等(自衛隊法第二十七条に規定する病院その他防衛省令で定める自衛隊の病院又は診療所をいう。以下同じ。)において、被収容者に対し、医業をすることができる。
2 医師法第十九条第二十条及び第二十三条から第二十四条の二までの規定は、医師相当衛生要員等について準用する。
3 第一項の規定により医業をする場合における医師相当衛生要員等は、医師とみなして、保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第六条及び第三十七条歯科衛生士法(昭和二十三年法律第二百四号)第十三条の三診療放射線技師法(昭和二十六年法律第二百二十六号)第二条第二項第二十四条の二第二十六条及び第二十八条第一項、臨床検査技師等に関する法律(昭和三十三年法律第七十六号)第二条及び第二十条の二、薬剤師法(昭和三十五年法律第百四十六号)第十九条及び第二十二条から第二十四条まで並びに臨床工学技士法(昭和六十二年法律第六十号)第二条第二項及び第三十八条の規定を適用する。
(歯科医師相当衛生要員等)
第三十四条 捕虜及び衛生要員のうち、捕虜収容所長が外国において歯科医師に相当する資格を有する者と認めたもの(以下「歯科医師相当衛生要員等」という。)は、歯科医師法(昭和二十三年法律第二百二号)第十七条の規定にかかわらず、自衛隊病院等において、被収容者に対し、歯科医業をすることができる。
2 歯科医師法第十九条第二十条及び第二十二条から第二十三条の二までの規定は、歯科医師相当衛生要員等について準用する。
3 第一項の規定により歯科医業をする場合における歯科医師相当衛生要員等は、歯科医師とみなして、保健師助産師看護師法第六条及び第三十七条歯科衛生士法第二条第一項第十三条の二及び第十三条の三診療放射線技師法第二条第二項第二十四条の二第二十六条及び第二十八条第一項歯科技工士法(昭和三十年法律第百六十八号)第二条第一項ただし書及び第十八条ただし書、臨床検査技師等に関する法律第二条及び第二十条の二並びに薬剤師法第十九条及び第二十二条から第二十四条までの規定を適用する。
(薬剤師相当衛生要員等)
第三十五条 捕虜及び衛生要員のうち、捕虜収容所長が外国において薬剤師に相当する資格を有する者と認めたもの(以下「薬剤師相当衛生要員等」という。)は、薬剤師法第十九条の規定にかかわらず、自衛隊病院等において、被収容者に対し、授与の目的で調剤することができる。
2 薬剤師法第二十一条から第二十六条までの規定は、薬剤師相当衛生要員等について準用する。この場合において、同法第二十二条ただし書中「医師若しくは歯科医師」とあるのは「医師、歯科医師、医師相当衛生要員等若しくは歯科医師相当衛生要員等」と、同法第二十三条及び第二十四条中「医師、歯科医師又は獣医師」とあるのは「医師、歯科医師、医師相当衛生要員等又は歯科医師相当衛生要員等」と読み替えるものとする。
(看護師相当衛生要員等)
第三十六条 捕虜及び衛生要員のうち、捕虜収容所長が外国において看護師に相当する資格を有する者と認めたもの(以下「看護師相当衛生要員等」という。)は、保健師助産師看護師法第三十一条第一項の規定にかかわらず、自衛隊病院等において、被収容者に対し、同法第五条に規定する業をすることができる。
2 保健師助産師看護師法第三十七条の規定は、看護師相当衛生要員等について準用する。この場合において、同条中「主治の医師又は歯科医師」とあるのは、「主治の医師、歯科医師、医師相当衛生要員等又は歯科医師相当衛生要員等」と読み替えるものとする。
3 第一項の規定により保健師助産師看護師法第五条に規定する業をする場合における看護師相当衛生要員等は、看護師とみなして、同法第六条の規定を適用する。
(准看護師相当衛生要員等)
第三十七条 捕虜及び衛生要員のうち、捕虜収容所長が外国において准看護師に相当する資格を有する者と認めたもの(以下「准看護師相当衛生要員等」という。)は、保健師助産師看護師法第三十二条の規定にかかわらず、自衛隊病院等において、被収容者に対し、医師、歯科医師、看護師、医師相当衛生要員等、歯科医師相当衛生要員等又は看護師相当衛生要員等の指示を受けて、同法第六条に規定する業をすることができる。
2 保健師助産師看護師法第三十七条の規定は、准看護師相当衛生要員等について準用する。この場合において、同条中「主治の医師又は歯科医師」とあるのは、「主治の医師、歯科医師、医師相当衛生要員等又は歯科医師相当衛生要員等」と読み替えるものとする。
(秘密を守る義務)
第三十八条 医師相当衛生要員等、歯科医師相当衛生要員等、薬剤師相当衛生要員等、看護師相当衛生要員等又は准看護師相当衛生要員等は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。医師相当衛生要員等、歯科医師相当衛生要員等、薬剤師相当衛生要員等、看護師相当衛生要員等又は准看護師相当衛生要員等でなくなった後においても、同様とする。
(管理者の任務)
第三十九条 自衛隊病院等の管理者は、当該自衛隊病院等において医療に関する業務に従事する医師相当衛生要員等、歯科医師相当衛生要員等、薬剤師相当衛生要員等、看護師相当衛生要員等、准看護師相当衛生要員等その他の衛生要員及び第六十八条の規定により第六十四条第三号に掲げる業務に従事することを許された捕虜の業務遂行に欠けるところのないよう、必要な注意をしなければならない。
第四節 宗教
(自ら行う宗教上の行為)
第四十条 捕虜収容所内において被収容者が自ら個別に行う礼拝その他の宗教上の行為は、これを禁止し、又は制限してはならない。ただし、捕虜収容所の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがある場合は、この限りでない。
(宗教上の儀式行事)
第四十一条 捕虜収容所長は、捕虜収容所内において被収容者が希望する場合には、宗教要員その他の宗教家の行う説教、礼拝その他の宗教上の儀式行事に参加することができる機会を設けるように努めなければならない。
2 捕虜収容所長は、捕虜収容所の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがある場合には、被収容者を前項に規定する宗教上の儀式行事に参加させないことができる。
(宗教要員等の行為)
第四十二条 宗教要員等(宗教要員及び第六十九条の規定により第六十四条第四号に掲げる業務に従事することを許された捕虜をいう。第八十四条第三項において同じ。)は、捕虜収容所内において、被収容者の行う第四十条に規定する宗教上の行為を補助し、又は前条第一項に規定する宗教上の儀式行事を行うことができる。
第五節 規律及び秩序の維持
第一款 通則
(捕虜収容所の規律及び秩序)
第四十三条 捕虜収容所の規律及び秩序は、厳正に維持されなければならない。
2 前項の目的を達成するためこの章の規定によりとる措置は、被収容者の収容を確保し、並びにその処遇のための適切な環境及びその安全かつ平穏な共同生活を維持するため必要な限度を超えてはならない。
(遵守事項等)
第四十四条 捕虜収容所長は、捕虜収容所内の規律及び秩序を維持するため必要な被収容者の遵守すべき事項(以下「遵守事項」という。)を定めるものとする。
2 前項の規定により定められるもののほか、捕虜収容所長又はその指定する職員は、捕虜収容所の規律及び秩序を維持するため必要があるときは、被収容者に対し、その生活及び行動について指示することができる。
第二款 制止等の措置等
(身体の検査等)
第四十五条 捕虜収容所長の指定する自衛官は、捕虜収容所の規律及び秩序を維持するため必要があるときは、被収容者の身体、着衣、所持品及び居住区画を検査し、並びに被収容者の所持品を取り上げて一時保管することができる。ただし、女性の被収容者の身体及び着衣を検査する場合には、捕虜収容所長の指定する女性の自衛官が行わなければならない。
(制止等の措置)
第四十六条 捕虜収容所に勤務する自衛官は、被収容者が逃走し、自己若しくは他人に危害を与え、捕虜収容所の職員の職務の執行を妨げ、その他捕虜収容所の規律及び秩序を著しく害する行為をし、又はこれらの行為をしようとするときは、合理的に必要と判断される限度で、その行為を制止し、当該被収容者を拘束し、その他その行為を抑止するため必要な措置をとることができる。
(用具の使用)
第四十七条 捕虜収容所に勤務する自衛官は、前条の規定による措置をとる場合又は被収容者を護送する場合には、防衛大臣の定めるところにより、手錠その他の防衛省令で定める用具を使用することができる。
第三款 懲戒
(懲戒処分)
第四十八条 懲戒権者(捕虜収容所長又は捕虜収容所に勤務する幹部自衛官(防衛省設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第十五条第一項に規定する幹部自衛官をいう。)であって政令で定める者をいう。以下同じ。)は、被収容者が次の各号のいずれかの行為をしたときは、当該被収容者に対し、懲戒処分を行うことができる。
一 逃走すること(第三条約第九十一条第一項(1)から(3)までのいずれかに該当するものを除く。)又は逃走しようとすること。
二 自己又は他人に危害を与えること、捕虜収容所の職員の職務の執行を妨げること、遵守事項を遵守しないことその他の抑留業務の円滑な実施を妨げること。
三 信書の発信その他の方法により我が国の防衛上支障のある通信を試みることその他の武力攻撃又は存立危機武力攻撃に資する行為を行うこと。
四 前三号に掲げる行為を準備し、共謀し、あおり、唆し、又は援助すること。
(懲戒処分の種類)
第四十九条 懲戒処分の種類は、次のとおりとする。
一 第七十四条の規定により給付金計算高に加算すべき捕虜等抑留給付金の二分の一以内の削減
二 一日につき二時間以内の防衛省令で定める業務への従事
三 他の被収容者から分離して行う拘禁
2 懲戒処分を行う期間は、三十日以内とする。前条各号に掲げる行為(以下「反則行為」という。)に該当する二以上の行為に対して同時に懲戒処分を行うときも、同様とする。
3 懲戒処分は、同一の行為につき、二種類以上を併せて行ってはならない。
4 第一項第二号に掲げる懲戒処分は、被収容者(仮収容者を除く。)のうち、下士官又は兵として指定された者に対してのみこれを行うことができる。
5 第一項第二号に掲げる懲戒処分において従事した業務については、第七十四条の規定による業務従事報奨金の加算はしない。
6 第一項第三号に掲げる懲戒処分においては、防衛省令で定めるところにより、懲戒権者が指定する階級等及び性別ごとに分離した区画において拘禁する。この場合において、当該懲戒処分を受ける者から、次に掲げる行為の求めがあったときは、これを許さなければならない。
一 苦情の申出及び請願をすること。
二 利益保護国代表及び捕虜代表と連絡をとること。
三 一日につき二時間を下回らない防衛大臣が定める範囲内で希望する時間の戸外における運動をすること。
四 書籍等の閲覧をすること。
五 第十節第二款の規定により信書を発受すること。
7 女性の被収容者に対し第一項第三号に掲げる懲戒処分を行うときは、当該被収容者を男性の捕虜収容所の職員のみの監視の下に置いてはならない。
(懲戒処分の基準)
第五十条 懲戒処分を行うに当たっては、反則行為をした被収容者の年齢、心身の状態及び行状、反則行為の性質、軽重、動機及び捕虜収容所の運営に及ぼした影響、反則行為後における当該被収容者の態度その他の事情を考慮しなければならない。
(懲戒処分を行う手続等)
第五十一条 懲戒権者は、被収容者が反則行為をした疑いがあると思料するときは、反則行為の有無及び前条の規定により考慮すべき事情について、できる限り速やかに調査を行わなければならない。
2 前項の調査のため必要があるときは、防衛省令で定めるところにより、反則行為をした疑いのある被収容者を他の被収容者から隔離することができる。この場合において、当該被収容者を隔離する期間は、十四日を超えてはならない。
3 懲戒処分を行うときは、あらかじめ、反則行為をした疑いのある被収容者に事実の要旨を告げた上、弁解の機会を与えなければならない。この場合において、当該被収容者は、通訳人による通訳を求めることができる。
4 前項の事実を告げられた被収容者は、必要な参考人の陳述を求めることができる。
5 懲戒権者は、被収容者に懲戒処分を行うことを決定したときは、防衛省令で定めるところにより、当該被収容者及び捕虜代表に対し、その旨及び当該懲戒処分の内容を通知しなければならない。
6 捕虜収容所長は、防衛省令で定めるところにより、懲戒処分に係る記録を作成し、及び保存しなければならない。
7 捕虜収容所長は、懲戒処分を受けた被収容者、利益保護国代表その他防衛省令で定める者から前項の記録の閲覧を求められたときは、これを許可しなければならない。
(懲戒処分の執行)
第五十二条 懲戒処分の執行は、捕虜収容所内において行わなければならない。
2 懲戒処分の執行は、前条第五項の規定による通知の時から一月を経過したときは、これを開始してはならない。
3 懲戒処分の執行は、直近の懲戒処分の執行が終了した後三日以内は、これをすることはできない。ただし、当該懲戒処分の期間及び当該直近の懲戒処分の期間がいずれも十日に満たないときは、この限りでない。
(懲戒処分の不執行等)
第五十三条 懲戒権者は、懲戒処分の通知を受けた被収容者について、その通知の後における当該被収容者の態度その他の事情を考慮し、相当の理由があると認めるときは、当該懲戒処分の全部又は一部の執行をしないことができる。
(懲戒処分執行後の監視)
第五十四条 捕虜収容所長は、第四十八条第一号に掲げる行為をしたことを理由に懲戒処分を受けた被収容者については、当該懲戒処分の執行が終了した後、これを防衛省令で定める監視の下に置くことができる。
(防衛省令への委任)
第五十五条 この款に定めるもののほか、懲戒処分に関する手続に関し必要な事項は、防衛省令で定める。
第六節 捕虜代表及び捕虜代表補助者
(捕虜代表及び捕虜代表補助者の指名)
第五十六条 捕虜収容所長は、防衛大臣の定めるところにより、捕虜代表及び捕虜代表を補佐する者(以下「捕虜代表補助者」という。)を指名するものとする。
(便益の提供)
第五十七条 捕虜収容所長は、抑留業務の円滑な実施を妨げない範囲内において、捕虜代表及び捕虜代表補助者に対し、これらの任務を遂行するために必要な便益を与えなければならない。
第七節 被収容者の処遇
(物品の貸与等の原則)
第五十八条 被収容者には、捕虜収容所における日常生活のために必要な衣類及び寝具を貸与し、並びに食事及び湯茶を支給する。
2 被収容者には、前項に定めるもののほか、日用品、筆記具その他の捕虜収容所における日常生活のために必要な物品を貸与し、又は支給することができる。
3 前二項の規定により貸与し、又は支給される物品は、被収容者の健康を保持するに足り、かつ、国民生活の実情等を勘案し、被収容者としての地位に照らして、適当と認められるものでなければならない。
(自弁の物品の使用等)
第五十九条 捕虜収容所長は、被収容者が、次に掲げる物品で防衛省令で定める品目のものについて、自弁のものを使用し、又は摂取することを申請した場合には、捕虜収容所の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障がない限り、これを許すものとする。
一 衣類及び寝具
二 食料品及び飲料
三 日用品、文房具その他の捕虜収容所における日常生活に用いる物品
四 し好品
五 その他防衛省令で定める物品
(書籍の閲覧の機会及び時事の報道に接する機会)
第六十条 捕虜収容所長は、捕虜収容所の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障がない限り、被収容者に対し、書籍の閲覧の機会及び時事の報道に接する機会を与えるよう努めなければならない。
(日課)
第六十一条 捕虜収容所長は、防衛省令で定める基準に従い、捕虜収容所における日課を定め、これを被収容者に告知するものとする。
(活動等への援助)
第六十二条 捕虜収容所長は、防衛省令で定めるところにより、被収容者に対し、知的、教育的及び娯楽的活動、運動競技その他の活動について、援助を与えるものとする。
2 捕虜収容所長は、防衛省令で定めるところにより、被収容者のうち、将校、准士官又は下士官として指定された者に対し、自己契約作業(これらの者が捕虜収容所の外部の者との請負契約により行う物品の製作その他の作業をいう。)について、援助を与えるものとする。
(防衛省令への委任)
第六十三条 この節に定めるもののほか、被収容者の処遇に関し必要な事項は、防衛省令で定める。
第八節 捕虜の業務
(業務の種類)
第六十四条 捕虜収容所長は、次に掲げる業務を捕虜に行わせることができる。
一 捕虜収容所の維持運営に関する業務
二 通訳又は翻訳の業務
三 被収容者に対する医療に関する業務
四 被収容者の宗教上の行為の補助その他の宗教活動に関する業務
(将校及び准士官の業務)
第六十五条 捕虜収容所長は、将校及び准士官として指定された捕虜に、その希望により、前条第一号又は第二号に掲げる業務に従事することを許すことができる。
(下士官の業務)
第六十六条 捕虜収容所長は、下士官として指定された捕虜に、第六十四条第一号に掲げる業務(監督者として行うものに限る。)に従事させることができる。
2 捕虜収容所長は、下士官として指定された捕虜に、その希望により、第六十四条第一号又は第二号に掲げる業務に従事することを許すことができる。
(兵の業務)
第六十七条 捕虜収容所長は、兵として指定された捕虜に、第六十四条第一号に掲げる業務に従事させることができる。
2 捕虜収容所長は、兵として指定された捕虜に、その希望により、第六十四条第二号に掲げる業務に従事することを許すことができる。
(医療に関する業務)
第六十八条 捕虜収容所長は、捕虜に、その希望により、第六十四条第三号に掲げる業務に従事することを許すことができる。
(宗教上の行為の補助等に関する業務)
第六十九条 捕虜収容所長は、捕虜のうち、宗教、祈とう 又は祭 の職にあった者に、その希望により、第六十四条第四号に掲げる業務に従事することを許すことができる。
(業務の実施)
第七十条 捕虜の業務は、できる限り、その年齢、性別、階級等、身体的適性及び健康状態その他の事情を考慮した上、実施するものとする。
(業務の条件)
第七十一条 捕虜収容所長は、業務を行う捕虜の安全及び衛生を確保するため必要な措置を講じなければならない。
2 捕虜は、捕虜収容所長が前項の規定に基づき講ずる措置に応じて、必要な事項を守らなければならない。
3 第一項の規定により捕虜収容所長が講ずべき措置及び前項の規定により捕虜が守らなければならない事項は、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)その他の法令に定める労働者の安全及び衛生を確保するため事業者が講ずべき措置及び労働者が守らなければならない事項の例により、防衛大臣が定める。
(防衛省令への委任)
第七十二条 この節に定めるもののほか、業務の方法その他業務の実施に関し必要な事項は、防衛省令で定める。
第九節 捕虜等抑留給付金
(捕虜等抑留給付金)
第七十三条 捕虜収容所における捕虜、衛生要員及び宗教要員(以下この節において「給付対象捕虜等」という。)に対しては、捕虜等抑留給付金として、この節に定めるところにより、基礎的給付金(第三条約第六十条に規定する俸給の前払に相当するものをいう。以下同じ。)及び業務従事報奨金(前節の規定により従事した業務に対応する給付金をいう。以下同じ。)を支給するものとする。
2 捕虜収容所長は、防衛省令で定めるところにより、給付金台帳を作成し、給付対象捕虜等ごとに捕虜等抑留給付金の計算高(以下この節において「給付金計算高」という。)を記録して、これを管理しなければならない。
(捕虜等抑留給付金の額及び加算)
第七十四条 給付金計算高に加算すべき捕虜等抑留給付金の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額とする。
一 基礎的給付金 給付対象捕虜等の階級等ごとに防衛省令で定める月額
二 業務従事報奨金 防衛省令で定めるところにより、捕虜が業務を行った日の属する月ごとに、業務の種類及び内容、当該業務に要する知識及び技能の程度等を考慮して防衛大臣が定める基準に従い、その月の業務に対応するものとして算出した金額
2 捕虜等抑留給付金の額は、毎月一回の防衛大臣が定める日に、基礎的給付金にあってはその月の月額の全額、業務従事報奨金にあってはその月の前月における金額の全額を給付金計算高に加算するものとする。
(捕虜等抑留給付金の支給等)
第七十五条 捕虜収容所長は、給付対象捕虜等から、第五十九条の規定により使用し、又は摂取することを許された物品の購入(次項において「自弁物品の購入」という。)のため、捕虜等抑留給付金の支給を受けることを希望する旨の申出があったときは、基礎的給付金にあっては当該申出のあった日の属する月の月額及び業務従事報奨金にあっては当該申出のあった日の属する月の前月における金額の合計額の範囲内で支給するものとする。
2 捕虜収容所長は、給付対象捕虜等から、自弁物品の購入以外の目的で、又は前項に規定する合計額を超えて捕虜等抑留給付金の支給を受けることを希望する旨の申出があった場合において、その支給が抑留業務の効率的かつ円滑な運営に支障がないと認めるときは、当該給付対象捕虜等に係る給付金計算高の範囲内で、当該申出の額の全部又は一部を支給することができる。
3 前二項の規定により捕虜等抑留給付金を支給した場合には、その支給額を給付金計算高から減額する。
(捕虜等抑留給付金の加算の制限)
第七十六条 第五十八条第二項の規定により給付対象捕虜等に物品が貸与され、又は支給された場合には、その貸与又は支給の日の属する月の基礎的給付金の全部又は一部を給付金計算高に加算しないことができる。
(抑留終了時の捕虜等抑留給付金の支給等)
第七十七条 捕虜収容所長は、給付対象捕虜等が次の各号のいずれかに該当することとなった場合には、当該給付対象捕虜等に対し、基礎的給付金にあってはその給付金計算高を証する書面を交付し、業務従事報奨金にあってはその給付金計算高の全額を支給するものとする。
一 第百四十四条の規定により送還されるとき。
二 第百四十六条の規定により許可されて退去するとき。
三 第百四十七条の規定により移出をされるとき。
四 第百四十九条の規定により放免されるとき。
(給付金台帳の閲覧)
第七十八条 給付対象捕虜等、捕虜代表又は利益保護国代表は、防衛省令で定めるところにより、第七十三条第二項に規定する給付金台帳を閲覧することができる。
(防衛省令への委任)
第七十九条 この節に定めるもののほか、捕虜等抑留給付金の支給、給付金台帳の管理及び記録その他捕虜等抑留給付金の取扱いに関し必要な事項は、防衛省令で定める。
第十節 外部との交通
第一款 面会
(利益保護国代表等による面会)
第八十条 捕虜収容所長は、被収容者に対し、次に掲げる者から面会の申出があったときは、これを許可するものとする。この場合において、捕虜収容所の職員による立会いは、行わない。
一 利益保護国代表
二 指定赤十字国際機関の代表
三 被収容者の刑事事件における弁護人
2 捕虜収容所長は、前項の規定により面会を許可するときは、防衛省令で定めるところにより、面会の相手方の用務の処理の目的を妨げない範囲内において、面会の時間及び場所その他の捕虜収容所の管理運営上著しい支障を及ぼさないようにするための必要最小限の事項について指定することができる。
(その他の者との面会)
第八十一条 捕虜収容所長は、被収容者に対し、前条第一項各号に掲げる者以外の者から面会の申出があった場合において、面会を必要とする特段の事情があり、かつ、当該面会を許可することが捕虜収容所の管理運営上支障がないと認めるときは、防衛大臣の定めるところにより、これを許可することができる。
2 前項の面会には、面会の相手方の用務の処理の目的に反しない限り、捕虜収容所の職員による立会いを行うものとする。
3 面会の立会いに当たる捕虜収容所の職員は、被収容者又は面会の相手方が面会の許可に係る用務の処理のために必要な範囲を明らかに逸脱する行為又は発言を行ったときは、その行為若しくは発言を制止し、又はその面会を一時停止させることができる。この場合においては、面会の一時停止のため、面会の場所から被収容者又は面会の相手方を退出させることその他必要な処置をとることができる。
4 捕虜収容所長は、前項の規定により面会が一時停止された場合において、面会を継続させることが相当でないと認めるときは、その面会を終わらせることができる。
(面会の停止等)
第八十二条 防衛大臣は、武力攻撃又は存立危機武力攻撃を排除するために必要な自衛隊が実施する武力の行使、部隊等の展開その他の武力攻撃事態又は存立危機事態への対処に係る状況に照らし、我が国の防衛上特段の必要がある場合には、捕虜収容所長に対し、期間及び捕虜収容所の施設を指定して、前二条の規定による面会の制限又は停止を命ずることができる。
2 防衛大臣は、前項の面会の制限又は停止の必要がなくなったと認めるときは、捕虜収容所長に対し、直ちに、当該面会の制限又は停止の解除を命じなければならない。
第二款 信書及び電信等の発受
(信書の発受)
第八十三条 被収容者については、この節の規定によるもののほか、信書を発し、又はこれを受けることを差し止め、又は制限することができない。
(信書に関する制限)
第八十四条 捕虜収容所長は、防衛省令で定めるところにより、被収容者が発する信書の作成要領及び通数並びに被収容者の信書の発受の方法について、抑留業務の円滑な実施のため必要な制限をすることができる。ただし、捕虜代表又は捕虜代表補助者が国若しくは地方公共団体の機関、利益保護国、指定赤十字国際機関又は指定援助団体に対して発する信書であって、第三条約第八十条その他の規定による捕虜代表又は捕虜代表補助者の権限に属する事項を含むものについては、この限りでない。
2 前項の場合において、被収容者が発する信書の通数を制限するときは、当該通数は、毎月、第三条約第七十一条第一項に規定する手紙に相当するものとして防衛省令で定めるものにあっては二通、同項に規定する葉書に相当するものとして防衛省令で定めるものにあっては四通を下回ることができない。
3 第一項の規定にかかわらず、宗教要員等が第四十二条の規定により被収容者の宗教上の行為を補助し、又は宗教上の儀式行事を行うために必要な宗教団体に対して発する信書については、抑留業務の円滑な実施に著しい支障を生ずるおそれがある場合を除き、その通数についての制限をすることができない。
(信書の検査)
第八十五条 捕虜収容所長は、被収容者が発する信書及び受ける信書について、その内容の検査を行うときは、速やかに行うものとする。
2 前項の規定にかかわらず、被収容者が国又は地方公共団体の機関から受ける信書については、その旨を確認するため必要な限度において、これを検査するものとする。
(信書の内容による差止め等)
第八十六条 捕虜収容所長は、前条第一項の検査の結果、被収容者が発する信書又は受ける信書について、その全部又は一部が次の各号のいずれかに該当する場合には、その発信若しくは受信を差し止め、又はその該当箇所を削除し、若しくは抹消することができる。
一 暗号の使用その他の理由によって、その内容が理解できないものであるとき。
二 その発信又は受信によって、我が国の防衛上支障を生ずるおそれがあるとき。
三 その発信又は受信によって、刑罰法令に触れることとなり、又は刑罰法令に触れる結果を生ずるおそれがあるとき。
四 その発信又は受信によって、逃走その他被収容者の取扱いに際しての規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるとき。
五 被収容者の処遇その他被収容者の取扱いの状況に関し、明らかに虚偽の記述があるとき。
2 前項の規定にかかわらず、被収容者が利益保護国又は指定赤十字国際機関との間で発受する信書であって、第三条約又は第一追加議定書の規定によるそれらの権限に属する事項を含むものについては、当該事項に係る部分の全部又は一部が同項第五号に該当することを理由としては、その発信若しくは受信を差し止め、又はその該当箇所を削除し、若しくは抹消することができない。
3 第一項の規定にかかわらず、被収容者が国又は地方公共団体の機関に対して発する信書であってその機関の権限に属する事項を含むもの及び被収容者が弁護士との間で発受する信書であってその被収容者に係る弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第三条第一項に規定する弁護士の職務に属する事項を含むものについては、これらの事項に係る部分の全部又は一部が第一項第五号に該当することを理由としては、その発信若しくは受信を差し止め、又はその該当箇所を削除し、若しくは抹消することができない。
4 第一項の規定にかかわらず、捕虜代表又は捕虜代表補助者が国又は地方公共団体の機関に対して発する信書であってその機関の権限に属する事項を含むもの及び捕虜代表又は捕虜代表補助者が利益保護国、指定赤十字国際機関又は指定援助団体との間で発受する信書であって第三条約又は第一追加議定書の規定による捕虜代表、捕虜代表補助者、利益保護国、指定赤十字国際機関又は指定援助団体の権限に属する事項を含むものについては、その発信又は受信を差し止めることができない。
5 第一項の規定にかかわらず、捕虜代表又は捕虜代表補助者が国又は地方公共団体の機関に対して発する信書であってその機関の権限に属する事項を含むもの及び捕虜代表又は捕虜代表補助者が利益保護国、指定赤十字国際機関又は指定援助団体との間で発受する信書であって第三条約又は第一追加議定書の規定による捕虜代表、捕虜代表補助者、利益保護国、指定赤十字国際機関又は指定援助団体の権限に属する事項を含むものについては、これらの事項に係る部分の全部又は一部が同項第五号に該当することを理由としては、その該当箇所を削除し、又は抹消することができない。
(被収容者が発する電信等)
第八十七条 捕虜収容所長は、被収容者が信書によってはその配偶者又は三親等以内の親族と連絡を取ることができない場合その他の防衛省令で定める場合には、電信その他防衛省令で定める電気通信役務を利用して行う通信(以下「電信等」という。)を被収容者が発することを許可することができる。
2 捕虜収容所長は、防衛省令で定めるところにより、被収容者が発する電信等の作成要領並びに発信の回数及び方法について、抑留業務の円滑な実施のために必要な制限をすることができる。
3 第八十五条第一項及び前条第一項の規定は、被収容者が発する電信等について準用する。
4 前三項の規定にかかわらず、捕虜代表又は捕虜代表補助者が国若しくは地方公共団体の機関、利益保護国、指定赤十字国際機関又は指定援助団体に対して発する電信等であって、第三条約第八十条その他の規定による捕虜代表又は捕虜代表補助者の権限に属する事項を含むものについては、信書とみなして、第八十三条から前条までの規定を適用する。
(被収容者が受ける電信等)
第八十八条 被収容者が受ける電信等については、被収容者が受ける信書とみなして、第八十三条、第八十四条第一項、第八十五条及び第八十六条の規定を適用する。
(防衛省令への委任)
第八十九条 この節に定めるもののほか、信書及び電信等の発受に関し必要な事項は、防衛省令で定める。
第十一節 苦情
(捕虜収容所長に対する苦情の申出)
第九十条 被収容者は、自己に対する捕虜収容所長の措置その他自己が受ける処遇について、捕虜収容所長に対し、口頭又は書面で、苦情の申出をすることができる。
(防衛大臣等に対する苦情の申出)
第九十一条 被収容者は、自己に対する捕虜収容所長の措置その他自己が受ける処遇について、防衛大臣又は防衛大臣の定める幕僚長(自衛隊法第九条に規定する幕僚長をいう。)に対し、書面で、苦情の申出をすることができる。
2 前項の苦情の申出は、被収容者が自ら作成し、封をした書面を捕虜収容所長を経由して提出することによって行う。
3 捕虜収容所長は、前項の書面を検査してはならない。
4 捕虜収容所長は、被収容者が自己に対する捕虜収容所長の措置その他自己が受ける処遇について、捕虜代表又は利益保護国代表に対し連絡することを妨げてはならない。
(防衛省令への委任)
第九十二条 この節に定めるもののほか、苦情の申出及びその処理の手続に関し必要な事項は、防衛省令で定める。
第四章 資格認定審査請求及び懲戒審査請求
第一節 捕虜資格認定等審査会の組織
(捕虜資格認定等審査会)
第九十三条 資格認定審査請求及び懲戒審査請求の事件を取り扱うため、防衛省本省に、臨時に捕虜資格認定等審査会(以下「審査会」という。)を置く。
(組織)
第九十四条 審査会は、委員十五人以内で組織する。
2 委員は、非常勤とする。
(委員の任命)
第九十五条 委員は、人格が高潔であって、安全保障に関する識見を有し、かつ、第三条約その他の国際的な武力紛争において適用される国際人道法又は防衛に関する法令に学識経験を有する者のうちから、防衛大臣が任命する。
(職権の行使)
第九十六条 委員は、独立してその職権を行う。
(任期)
第九十七条 委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
3 委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。
4 審査会が廃止される場合には、委員の任期は、第一項の規定にかかわらず、その廃止の時に満了する。
(身分保障)
第九十八条 委員は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない。
一 破産の宣告を受けたとき。
二  以上の刑に処せられたとき。
三 審査会により、心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき、又は職務上の義務違反その他委員たるに適しない行為があると認められたとき。
(罷免)
第九十九条 防衛大臣は、委員が前条各号のいずれかに該当するときは、その委員を罷免しなければならない。
(会長)
第百条 審査会に会長を置き、委員の互選により委員のうちからこれを定める。
2 会長は、会務を総理し、審査会を代表する。
3 審査会は、あらかじめ、会長に故障があるときにその職務を代理する委員を定めておかなければならない。
(合議体)
第百一条 審査会は、委員のうちから審査会が指名する者三人をもって構成する合議体で、資格認定審査請求及び懲戒審査請求の事件(以下「審査請求事件」という。)を取り扱う。
2 前項の規定にかかわらず、審査会が定める場合においては、委員の全員をもって構成する合議体で、審査請求事件を取り扱う。
第百二条 前条第一項又は第二項の各合議体を構成する者を審査員とし、うち一人を審査長とする。
2 前条第一項の合議体のうち、会長がその構成に加わるものにあっては、会長が審査長となり、その他のものにあっては、審査会の指名する委員が審査長となる。
3 前条第二項の合議体にあっては、会長が審査長となり、会長に故障があるときは、第百条第三項の規定により会長を代理する委員が審査長となる。
第百三条 第百一条第一項の合議体は、その合議体を構成するすべての審査員の、同条第二項の合議体は、審査員の総数の三分の二以上の者の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。
2 第百一条第一項の合議体の議事は、その合議体を構成する審査員の過半数をもって決し、同条第二項の合議体の議事は、審査員の総数の過半数をもって決する。
(委員会議)
第百四条 審査会の会務の処理(審査請求事件を除く。)は、委員の全員の会議(以下この条において「委員会議」という。)の議決によるものとする。
2 委員会議は、会長を含む過半数の委員の出席がなければ、これを開き、議決をすることができない。
3 委員会議の議事は、出席した委員の過半数をもって決する。
4 審査会が第九十八条第三号の規定による認定をするには、前項の規定にかかわらず、出席した委員のうちの本人を除く全員の一致がなければならない。
(特定行為の禁止)
第百五条 委員は、在任中、国会若しくは地方公共団体の議会の議員その他公選による公職の候補者となり、又は積極的に政治活動をしてはならない。
第二節 資格認定審査請求の手続
(抑留された者の資格認定審査請求)
第百六条 第十八条の規定による抑留令書の発付を受けた者は、第十六条第一項又は第三項の抑留資格認定(同項の抑留資格認定にあっては、同条第二項の規定による抑留する必要性についての判定を含む。第百二十一条第二項及び第三項を除き、以下同じ。)に不服があるときは、政令で定めるところにより、書面又は口頭で、審査会に対し、資格認定審査請求をすることができる。
2 前項の資格認定審査請求は、第十九条第二項の規定により抑留令書が示された日の翌日から起算して六十日以内にしなければならない。ただし、正当な事由によりこの期間内に資格認定審査請求をすることができなかったことを疎明したときは、この限りでない。
3 第一項の資格認定審査請求は、抑留資格認定官又は捕虜収容所長を経由してすることができる。
4 前項の場合における資格認定審査請求の期間の計算については、その経由した機関に資格認定審査請求書を提出し、又は口頭で陳述した時に資格認定審査請求があったものとみなす。
(却下)
第百七条 資格認定審査請求が不適法であって補正することができないものであるときは、審査会は、裁決をもって、これを却下しなければならない。
(補正)
第百八条 資格認定審査請求が不適法であって補正することができるものであるときは、審査会は、相当の期間を定めて、補正を命じなければならない。
2 審査会は、資格認定審査請求をした者(以下「資格認定審査請求人」という。)が前項の期間内に補正をしないときは、裁決をもって、資格認定審査請求を却下することができる。ただし、その不適法が軽微なものであるときは、この限りでない。
(審理の期日及び場所)
第百九条 審査会は、審理の期日及び場所を定め、あらかじめ資格認定審査請求人及び捕虜収容所長に通知しなければならない。
2 捕虜収容所長は、前項の規定により通知された審理の期日及び場所に資格認定審査請求人を出頭させなければならない。
3 資格認定審査請求人は、前項の場合において、審査会の許可を得て、通訳人その他の補佐人とともに出頭することができる。
(通訳の求め)
第百十条 資格認定審査請求人は、通訳人の立会いを必要とするときは、審査会に対してこれを求めることができる。
(審理の公開)
第百十一条 審理は、公開しなければならない。ただし、資格認定審査請求人又は第百十四条第二項第一号に規定する参考人の申立てがあったときは、これを公開しないことができる。
(審理の指揮)
第百十二条 審理期日における審理の指揮は、審査長が行う。
(口頭による意見の陳述等)
第百十三条 審査会は、審理期日において、資格認定審査請求人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
2 資格認定審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査会に対し意見書を提出することができる。
(審理のための処分)
第百十四条 審査会は、審理を行うため必要があるときは、資格認定審査請求人を審問することができる。
2 審査会は、審理を行うため必要があるときは、資格認定審査請求人の申立てにより又は職権で、次に掲げる処分をすることができる。
一 参考人の出頭を求めて審問し、又はその意見若しくは報告を徴すること。
二 文書その他の物件の所有者、所持者若しくは保管者に対し、当該物件の提出を求め、又は提出された物件を留め置くこと。
三 鑑定人に鑑定させること。
3 審査会は、審査員に、前項第一号に掲げる処分をさせることができる。
(調書)
第百十五条 審査会は、審理の期日における経過について、調書を作成しなければならない。
2 資格認定審査請求人は、審査会の許可を得て、前項の調書を閲覧することができる。
(合議)
第百十六条 審査会の合議は、公開しない。
(資格認定審査請求の取下げ)
第百十七条 資格認定審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも資格認定審査請求を取り下げることができる。
2 資格認定審査請求の取下げは、書面でしなければならない。
(本案の裁決)
第百十八条 審査会は、審理を終えたときは、資格認定審査請求を棄却し、又は抑留資格認定を取り消し、若しくは変更する裁決をしなければならない。ただし、資格認定審査請求人の不利益に当該認定を変更することはできない。
(裁決の方式)
第百十九条 裁決は、文書をもって行い、かつ、理由を付し、合議に関与した審査員が、これに署名押印しなければならない。合議に関与した審査員が署名押印することができないときは、合議に関与した他の審査員が、その事由を付記して署名押印しなければならない。
(裁決の効力発生)
第百二十条 裁決は、資格認定審査請求人に送達された時に、その効力を生ずる。
2 裁決の送達は、裁決書の謄本を送付することによって行う。ただし、送達を受けるべき者の所在が知れないときは、公示の方法によってすることができる。
3 公示の方法による送達は、審査会が裁決書の謄本を保管し、いつでもその送達を受けるべき者に交付する旨を審査会が職務を行う場所の掲示場に掲示し、かつ、その旨を官報その他の公報に少なくとも一回掲載してするものとする。この場合においては、その掲示を始めた日の翌日から起算して二週間を経過した時に裁決書の謄本の送付があったものとみなす。
(捕虜収容所長の処置)
第百二十一条 第十四条第一項又は第十七条第四項の資格認定審査請求が、第百七条若しくは第百八条第二項の規定により裁決で却下され、第百十七条第一項の規定により取り下げられ、又は第百十八条の規定により裁決で棄却されたときは、捕虜収容所長は、当該資格認定審査請求人を直ちに放免しなければならない。
2 第十四条第一項の資格認定審査請求について、第百十八条の規定により裁決で抑留資格認定が変更され、抑留資格(軍隊等非構成員捕虜に区分される抑留資格にあっては、第十六条第二項に規定する抑留する必要性があるものに限る。次項、第五項及び次条において同じ。)が認められたときは、捕虜収容所長は、当該資格認定審査請求人に対し、速やかに、第四項の規定による抑留令書を発付しなければならない。
3 第十七条第四項の資格認定審査請求について、第百十八条の規定により裁決で抑留資格認定又は第十六条第二項の規定による抑留する必要性がない旨の判定が変更され、抑留資格が認められたときも、前項と同様とする。
4 前二項の抑留令書は、捕虜収容所長の指定する自衛官が、当該資格認定審査請求人にこれを示すことにより執行する。
5 第二項又は第三項の規定により発付される抑留令書には、次に掲げる事項を記載し、捕虜収容所長がこれに記名押印しなければならない。
一 拘束の日時及び場所
二 資格認定審査請求人の氏名、階級等、生年月日及び身分証明書番号等
三 抑留資格
四 発付年月日
五 その他防衛省令で定める事項
第百二十二条 第百六条第一項の資格認定審査請求について、第百十八条の規定により裁決で抑留資格認定が取り消され、抑留資格が認められなかったときは、捕虜収容所長は、当該資格認定審査請求人を直ちに放免しなければならない。
2 第百六条第一項の資格認定審査請求について、第百十八条の規定により裁決で抑留資格認定が変更され、当該認定に係る抑留資格と異なる抑留資格が認められたときは、捕虜収容所長は、速やかに、当該資格認定審査請求人に発付されている抑留令書を訂正しなければならない。
3 前項の規定による抑留令書の訂正は、裁決書の写しを当該抑留令書に添付することにより行うものとする。この場合において、捕虜収容所長の指定する自衛官は、その訂正された抑留令書を当該資格認定審査請求人に示さなければならない。
(文書その他の物件の返還)
第百二十三条 審査会は、裁決をしたときは、速やかに、事件につき提出された文書その他の物件をその提出人に返還しなければならない。
(裁決書の更正)
第百二十四条 裁決書に誤記その他明白な誤りがあるときは、審査会は、資格認定審査請求人の申立てにより又は職権で、いつでも更正することができる。
2 審査会は、前項の規定により裁決書を更正したときは、その旨を裁決書の原本に付記するとともに、当該資格認定審査請求人にこれを通知しなければならない。
第三節 懲戒審査請求の手続
(懲戒審査請求)
第百二十五条 被収容者は、第四十八条の規定による懲戒処分に不服があるときは、防衛省令で定めるところにより、書面で、審査会に対し懲戒審査請求をすることができる。
(懲戒処分の執行の停止等)
第百二十六条 懲戒審査請求は、懲戒処分の執行を停止しない。ただし、審査会は、審理に必要があると認めるときは、職権でその執行を停止することができる。
2 審査会は、いつでも前項の執行の停止を取り消すことができる。
3 執行の停止及び執行の停止の取消しは、文書により、かつ、理由を付し、懲戒権者に通知することによって行う。
(審理の方式)
第百二十七条 懲戒審査請求の審理は、書面により行うものとする。ただし、審査会は、懲戒審査請求をした者(以下「懲戒審査請求人」という。)の申立てがあったときは、懲戒審査請求人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
(審理の期日及び場所等)
第百二十八条 審査会は、前条ただし書の規定により懲戒審査請求人に意見を述べさせ、又は第百三十条第一項の規定により懲戒審査請求人若しくは参考人を審問するときは、その審理の期日及び場所を定めるものとする。
2 審査会は、前項の審理(懲戒審査請求人に係るものに限る。)の期日及び場所を定めたときは、あらかじめ懲戒審査請求人及び捕虜収容所長に通知しなければならない。
3 捕虜収容所長は、前項の規定により通知された期日及び場所に懲戒審査請求人を出頭させなければならない。
4 懲戒審査請求人は、前項の場合において、審査会の許可を得て、通訳人その他の補佐人とともに出頭することができる。
5 第一項の審理は、公開しない。
(手続の併合又は分離)
第百二十九条 審査会は、必要があると認めるときは、数個の懲戒審査請求を併合し、又は併合された数個の懲戒審査請求を分離することができる。
(審理のための処分)
第百三十条 審査会は、審理を行うため必要があるときは、懲戒審査請求人の申立てにより又は職権で、次に掲げる処分をすることができる。
一 懲戒審査請求人若しくは参考人の出頭を求めて審問し、又はこれらの者から意見若しくは報告を徴すること。
二 文書その他の物件の所有者、所持者若しくは保管者に対し、当該物件の提出を求め、又は提出された物件を留め置くこと。
三 鑑定人に鑑定させること。
2 審査会は、審査員に、前項第一号に掲げる処分をさせることができる。
(本案の裁決)
第百三十一条 審査会は、審理を終えたときは、懲戒審査請求を棄却し、又は懲戒処分の全部若しくは一部を取り消し、若しくは変更する裁決をしなければならない。ただし、懲戒審査請求人の不利益に当該処分を変更することはできない。
(裁決の結果とるべき措置)
第百三十二条 捕虜収容所長は、第四十九条第一項各号に掲げる懲戒処分の全部若しくは一部を取り消し、又は変更する裁決があったときは、防衛大臣の定めるところにより、懲戒審査請求人がその処分によって受けた不当な結果を是正するため、その処分によって失われた捕虜等抑留給付金の加算その他の措置をとらなければならない。
(懲戒審査請求に関する手続の準用)
第百三十三条 第百六条第二項から第四項まで、第百七条、第百八条、第百十条、第百十二条、第百十三条第二項、第百十五条から第百十七条まで、第百十九条、第百二十条、第百二十三条及び第百二十四条の規定は、懲戒審査請求について準用する。この場合において、第百六条第二項中「第十九条第二項の規定により抑留令書が示された日」とあるのは「第五十一条第五項の規定により懲戒処分の通知を受けた日」と、同条第三項中「抑留資格認定官又は捕虜収容所長」とあるのは「懲戒処分権者」と、同条第四項中「提出し、又は口頭で陳述した」とあるのは「提出した」と読み替えるものとする。
第四節 雑則
(資格認定審査請求及び懲戒審査請求と訴訟との関係)
第百三十四条 この法律の規定による抑留資格認定又は懲戒処分の取消しの訴えは、これらの処分についての資格認定審査請求又は懲戒審査請求に対する捕虜資格認定等審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。
(防衛省令への委任)
第百三十五条 この章に定めるもののほか、資格認定審査請求及び懲戒審査請求の手続は、防衛省令で定める。
第五章 抑留の終了
(抑留の終了事由)
第百三十六条 被収容者の抑留は、死亡又は第百二十二条第一項の規定による放免のほか、この章に定めるところにより終了する。
第二節 送還基準等
(基準の作成)
第百三十七条 防衛大臣は、武力攻撃事態又は存立危機事態に際して、遅滞なく、次に掲げる武力攻撃事態又は存立危機事態における捕虜、衛生要員及び宗教要員の送還に関する基準を作成するものとする。
一 重傷病認定基準(抑留されている捕虜、衛生要員又は宗教要員が送還対象重傷病者(第三条約第百十条第一項(1)から(3)までに掲げる者に該当し、かつ、移動に適する状態にあるものをいう。以下同じ。)に該当するかどうかの認定の基準をいう。以下同じ。)
二 衛生要員送還基準(被収容者の人数に応じて抑留することができる衛生要員の人数の上限及びその業務内容の区分に応じて抑留することができる衛生要員の人数の上限並びにこれらの上限を超える場合における衛生要員の送還に関する基準並びに抑留すべき衛生要員の交代に伴う送還に関する基準をいう。以下同じ。)
三 宗教要員送還基準(被収容者の人数に応じて抑留することができる宗教要員の人数の上限及びその業務内容の区分に応じて抑留することができる宗教要員の人数の上限並びにこれらの上限を超える場合における宗教要員の送還に関する基準をいう。以下同じ。)
2 防衛大臣は、武力攻撃事態又は存立危機事態の終了後、速やかに、送還令書を発付すべき被収容者の順序、被収容者の引渡しを行うべき地(以下「送還地」という。)、送還地までの交通手段、送還時に携行を許可すべき携帯品の内容その他の送還の実施に必要な基準(以下「終了時送還基準」という。)を作成するものとする。
3 前二項に規定するもののほか、防衛大臣は、次に掲げる武力攻撃事態又は存立危機事態における捕虜の送還に関する基準を作成することができる。
一 宣誓解放送還基準(第三条約第二十一条第二項に規定する宣誓又は約束に基づく捕虜の解放のための送還に関する基準をいう。以下同じ。)
二 捕虜交換等送還基準(敵国軍隊等の属する外国の政府その他これに準ずるものとの間における捕虜の交換のための送還その他我が国の防衛上抑留の必要性がないと認められるに至った捕虜の送還に関する基準をいう。以下同じ。)
4 前三項に規定するもののほか、防衛大臣は、武力攻撃事態又は存立危機事態に際して、武力攻撃又は存立危機武力攻撃を行っていない第三条約の締約国に対する次に掲げる措置を講ずるための捕虜の引渡し(以下「移出」という。)に関する基準(以下「移出基準」という。)を作成することができる。
一 第三条約第十二条第二項の規定による当該締約国への移送
二 第三条約第百九条第二項の規定による当該締約国における入院又は抑留
5 防衛大臣は、前各項の規定により重傷病認定基準、衛生要員送還基準、宗教要員送還基準、終了時送還基準、宣誓解放送還基準、捕虜交換等送還基準又は移出基準(以下「送還等諸基準」という。)を作成したときは、速やかに、当該送還等諸基準を捕虜収容所長に通知するものとする。
6 送還等諸基準は、第三条約その他の国際約束の内容に適合するものでなければならない。
(文書等の発受)
第百三十八条 送還等諸基準の作成に必要な外国の政府又はこれに準ずるものとの間の文書及び通知の発受は、外務大臣が行う。ただし、緊急その他の特別の事情がある場合において、外務大臣が同意したときは、防衛大臣が行うものとする。
(重傷病捕虜等の送還)
第百三十九条 捕虜収容所長は、武力攻撃事態又は存立危機事態において、捕虜収容所に収容されている捕虜、衛生要員又は宗教要員のうち、送還対象重傷病者に該当すると認めるものがあるときは、速やかに、その者に対し、その旨及び送還に同意する場合には送還される旨の通知をしなければならない。
2 前項の通知を受けた者が、防衛省令の定めるところにより送還に同意したときは、捕虜収容所長は、速やかに、第百四十三条の規定による送還令書を発付するものとする。
3 防衛大臣は、前項の規定により送還令書を発付すべき者について、速やかに、その送還地、送還地までの交通手段、送還時に携行を許可すべき携帯品の内訳その他の送還の実施に必要な事項を定めなければならない。
4 第一項の場合において、送還対象重傷病者に該当するかどうかの認定は、第百六十八条に規定する混成医療委員の診断を経て行わなければならない。
5 捕虜代表は、自らがその利益を代表すべき範囲の捕虜、衛生要員又は宗教要員に送還対象重傷病者に該当すると思料する者があるときは、捕虜収容所長に対し、混成医療委員にその者の診断を行わせるよう求めることができる。
6 前項の規定による求めがあったときは、捕虜収容所長は、混成医療委員に同項に規定する者の診断を行うよう求めなければならない。
(武力攻撃事態又は存立危機事態における衛生要員及び宗教要員の送還)
第百四十条 捕虜収容所長は、武力攻撃事態又は存立危機事態において、抑留されている衛生要員の人数が衛生要員送還基準に定める人数の上限を超えたときは、当該衛生要員送還基準に従い、その超えた人数に相当する人数の衛生要員について、速やかに、第百四十三条の規定による送還令書を発付するものとする。
2 捕虜収容所長は、武力攻撃事態又は存立危機事態において、衛生要員送還基準に従い、抑留されている衛生要員と交代してその任務を行うために入国する者(次項において「交代要員」という。)に対し、同項の規定により抑留令書が発付される場合には、その抑留令書の発付を受ける者の人数に相当する人数の衛生要員について、速やかに、第百四十三条の規定による送還令書を発付するものとする。
3 抑留資格認定官は、防衛大臣の定めるところにより、前項の交代要員について、第四条の規定によりその身体を拘束しないときであっても、その者が抑留対象者(第三条第六号ホに掲げる者に限る。)に該当すると認めるときは、第十六条の規定の例により抑留令書を発付することができる。
4 第一項の規定は、宗教要員について準用する。
(武力攻撃事態又は存立危機事態の終了後の送還)
第百四十一条 捕虜収容所長は、第百三十七条第五項の規定により終了時送還基準の通知を受けたときは、遅滞なく、当該終了時送還基準に従い送還の実施に係る計画(以下「送還実施計画」という。)の案を作成し、防衛大臣の承認を受けるものとする。送還実施計画を変更する場合も、同様とする。
2 捕虜収容所長は、前項の送還実施計画の定めるところにより送還すべき要件に該当する被収容者については、速やかに、第百四十三条の規定による送還令書を発付しなければならない。
(宣誓解放送還及び捕虜交換等送還)
第百四十二条 捕虜収容所長は、第百三十七条第五項の規定により宣誓解放送還基準又は捕虜交換等送還基準の通知を受けたときは、これらの基準に従い、送還すべき捕虜に該当すると認める者について、速やかに、次条の規定による送還令書を発付するものとする。
第三節 送還等の実施
(送還令書の方式)
第百四十三条 第百三十九条第二項、第百四十条第一項(第四項において準用する場合を含む。)若しくは第二項、第百四十一条第二項又は前条の規定により発付される送還令書には、次に掲げる事項を記載し、かつ、捕虜収容所長がこれに記名押印するものとする。
一 送還される被収容者の氏名、階級等、生年月日及び身分証明書番号等
二 国籍
三 送還の理由
四 送還地
五 送還地までの交通手段その他の執行方法
六 発付年月日
七 その他防衛省令で定める事項
(送還令書の執行)
第百四十四条 送還令書は、防衛大臣の定めるところにより、捕虜収容所に勤務する自衛官その他の自衛官が執行するものとする。
2 前項の自衛官は、同項の規定により送還令書を執行するときは、送還される被収容者に対し、送還令書又はその写しを示して、速やかに、その者を前条第四号の送還地において敵国軍隊等が属する外国の政府その他これに準ずるもの(同条第五号の執行方法として外国の政府その他これに準ずるもの以外の機関が指定されている場合にあっては、当該機関)の代表者に引き渡すものとする。
(送還方法の変更)
第百四十五条 送還令書を執行する自衛官は、送還令書を発付された被収容者の体調の変化、送還地までの交通機関の運航の停止その他の送還令書に記載された執行方法による送還を困難とする事情が生じたときは、直ちに、捕虜収容所長に報告しなければならない。
2 前項の報告を受けた捕虜収容所長は、速やかに、送還地又は交通手段の変更その他の必要と認める措置を講ずるものとする。この場合において、必要があるときは、送還令書の記載内容を変更するものとする。
(送還の特例)
第百四十六条 送還令書の発付を受けた者が、第三条第六号ロ、ヘ又はチに掲げる者に該当し、かつ、敵国軍隊等が属する外国以外の国籍を有する者であるときは、防衛大臣は、その者の希望により、その国籍又は市民権の属する国に向け、我が国から退去することを許可することができる。
2 前項の規定により我が国から退去することを許可された者については、防衛省令で定めるところにより、我が国から退去した時にその者に係る送還令書が執行されたものとみなす。
(移出)
第百四十七条 捕虜収容所長は、第百三十七条第五項の規定により移出基準の通知を受けたときは、当該移出基準に従い、移出をすべき捕虜に該当すると認める者の移出をすることができる。
2 前項の規定により移出基準に定められた第三条約の締約国に移出として捕虜を引き渡したときは、その者に係る抑留令書は、当該引渡しの時に失効するものとする。
第四節 雑則
(捕虜代表への通知等)
第百四十八条 捕虜収容所長は、第百三十七条第五項の規定により送還等諸基準の通知を受けたときは、速やかに、捕虜代表にこれを通知するものとする。
2 捕虜収容所長は、第百四十一条第一項の規定により送還実施計画を作成し、又は変更したときは、その都度、捕虜代表にこれを通知するものとする。
3 捕虜収容所長は、防衛省令で定めるところにより、送還及び移出の実績を捕虜代表に通知するものとする。
4 捕虜収容所長は、防衛省令で定めるところにより、被収容者に対し、送還実施計画及び送還実績を周知するため必要な措置を講ずるものとする。
(防衛大臣による放免)
第百四十九条 防衛大臣は、送還令書の発付を受けた被収容者について、送還実施計画に基づき送還することが当該被収容者の利益を著しく害すると認める特段の事情があるときは、捕虜収容所長に当該被収容者を放免するよう命ずることができる。
2 前項の規定により被収容者が放免されたときは、当該被収容者に係る送還令書は、その放免の時に失効するものとする。
(抑留の取消し)
第百五十条 防衛大臣は、抑留令書の発付を受けた被収容者であって現に刑事事件又は少年の保護事件に関する法令の規定によりその身体を拘束されているもの(以下この条において「刑事事件等被拘束者」という。)以外のすべての被収容者について送還等(送還その他の事由による抑留の終了をいう。次条において同じ。)が完了したときは、捕虜収容所長に対し、当該刑事事件等被拘束者に対する抑留令書に係る抑留の処分の取消しを命ずることができる。
(逃走者の取扱い)
第百五十一条 前条の送還等が完了した時点において、捕虜収容所から逃走した被収容者が第百六十一条の規定により再拘束されていないときは、その者に係る抑留令書は、当該送還等の完了の日に失効するものとする。
第六章 補則
第一節 武器の使用
第百五十二条 出動自衛官は、第四条の規定による拘束をする場合においては、その事態に応じ、合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。
一 刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十六条又は第三十七条に該当するとき。
二 その本人が、その者に対する出動自衛官の職務の執行に対して抵抗し、若しくは逃走しようとする場合又は第三者がその者を逃がそうとして出動自衛官に抵抗する場合において、これを防ぐために他に手段がないと当該出動自衛官において信ずるに足りる相当の理由があるとき。
2 抑留令書、仮収容令書若しくは送還令書の執行、抑留令書若しくは送還令書による再拘束、被拘束者若しくは被収容者の拘束、収容、護送若しくは送還又はこれらの者の収容のための施設の警備に係る職務に従事する自衛官(以下「捕虜等警備自衛官」という。)は、その職務の執行に関し、その事態に応じ、合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。
一 刑法第三十六条又は第三十七条に該当するとき。
二 その本人が、その者に対する捕虜等警備自衛官の職務の執行に対して抵抗し、若しくは逃走しようとする場合又は第三者がその者を逃がそうとして捕虜等警備自衛官に抵抗する場合において、これを防ぐために他に手段がないと当該捕虜等警備自衛官において信ずるに足りる相当の理由があるとき。
第二節 領置
(自衛隊の部隊等における領置)
第百五十三条 指定部隊長又は抑留資格認定官は、第六条第一項若しくは第二項又は第九条第四項の規定による引渡しを受けた被拘束者がその引渡しの際に所持する現金及び物品(以下「金品」という。)を領置することができる。ただし、次に掲げる物品については、領置してはならない。
一 ヘルメット、防毒マスクその他の専ら身体の防護のために用いられる物品
二 制服、身分証明書、階級章その他の地位又は身分を示す記章及び勲章その他の功績を示す記章
三 前二号に掲げるもののほか、防衛省令で定める私用の物品
2 前項の規定により金品を領置するときは、同項に規定する引渡しを受けた者に対し、受領証を発給しなければならない。ただし、領置した物品のうち、領置武器等(武器その他の装備品(同項第一号に掲げるものを除く。)及び軍用書類をいう。以下同じ。)については、この限りでない。
3 指定部隊長又は抑留資格認定官は、第一項の規定により領置した領置武器等については、これを領置している間、いつでも廃棄することができる。
4 指定部隊長又は抑留資格認定官は、第九条第三項、第十三条第三項又は第十七条第二項の規定により被拘束者を放免するときは、その領置している金品を当該被拘束者に返還しなければならない。
(捕虜収容所における領置)
第百五十四条 捕虜収容所長は、被収容者がその収容の際に所持する金品及び次条の規定により許されて交付を受けた金品(前条第一項第二号又は第三号に掲げるものを除く。)その他の収容中に取得した金品を領置する。ただし、その物品が次の各号のいずれかに該当する場合には、領置することを要しない。
一 保管に不便なものであるとき。
二 腐敗し、又は滅失するおそれがあるものであるとき。
三 危険を生ずるおそれがあるものであるとき。
四 価値のないものであるとき。
2 前条第二項の規定は、前項の規定により金品を領置する場合について準用する。
3 捕虜収容所長は、前項において準用する前条第二項の規定により発給する受領証について、その控えを作成し、これを保存しなければならない。
4 被収容者又は利益保護国代表は、防衛省令で定めるところにより、前項の受領証の控えを閲覧することができる。
5 捕虜収容所長は、第一項の規定により領置した領置武器等については、これを領置している間、いつでも廃棄することができる。
6 第一項各号のいずれかに該当する物品について被収容者が被収容者以外の者への交付その他相当の処分をしない場合には、捕虜収容所長は、これを売却してその代金を領置する。ただし、売却することができないものは、廃棄することができる。
7 第一項の規定により物品を領置すべき場合において、その被収容者の物品が著しく多量であるため捕虜収容所における被収容者の物品の適正な管理に支障を生ずるおそれがあるときは、捕虜収容所長は、同項の規定にかかわらず、その全部又は一部を領置しないことができる。
8 第六項の規定は、前項の規定により領置しない物品について準用する。
(差入物の取扱い)
第百五十五条 捕虜収容所長又はその指定する職員は、被収容者以外の者が被収容者に交付するため捕虜収容所に持参し、又は送付した金品については、防衛省令で定めるところにより、その内容の検査を行うことができる。
2 捕虜収容所長は、前項の規定により検査を行った金品が第五十九条各号に掲げる物品又は現金である場合には、被収容者がその交付を受けることを許さなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一 その物品が前条第一項ただし書又は同条第七項の規定により領置しないものであるとき。
二 その金品の交付を受けることを許すことにより、捕虜収容所の規律及び秩序を害するおそれがあるとき。
3 前項の規定により交付を受けることを許さない金品又は被収容者が交付を受けることを拒んだ金品については、その金品を持参し、又は送付した被収容者以外の者にその旨を通知して、その金品を引き取るよう求めるものとする。
4 前項の金品を引き取るべき者の所在が分からないことその他の事由により、その金品を引き取らせることができない場合には、現金を除き、これを廃棄することができる。
5 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第四百九十九条第一項及び第三項の規定は、前項に規定する事由により現金を引き取らせることができない場合について準用する。この場合において、同条第一項中「検察官」とあるのは、「捕虜収容所長」と読み替えるものとする。
(領置金の使用)
第百五十六条 捕虜収容所長は、被収容者から、第五十九条の規定により使用し、又は摂取することを許された物品の購入のため、領置されている現金を使用する旨の申出があったときは、当該物品の購入に必要な金額の現金の領置を解いて、その使用を許すものとする。
(領置物の返還)
第百五十七条 捕虜収容所長は、被収容者が次の各号のいずれかに該当することとなった場合には、領置している金品(領置武器等を除く。次条において同じ。)を当該被収容者に返還しなければならない。
一 第百四十四条の規定により送還されるとき。
二 第百四十六条の規定により許可されて退去するとき。
三 第百四十七条の規定により移出をされるとき。
四 第百四十九条の規定により放免されるとき。
(死亡者等の遺留物)
第百五十八条 被拘束者又は被収容者の死亡その他防衛省令で定める場合において、当該被拘束者又は被収容者から領置していた現金又は物品であって遺留されたものがあるときは、防衛省令で定めるところにより、これを返還しなければならない。ただし、当該物品が腐敗し、若しくは滅失するおそれがあるもの又は価値のないものであるときは、廃棄することができる。
(領置武器等の帰属)
第百五十九条 領置武器等については、武力攻撃事態又は存立危機事態の終了の時までに廃棄されていないときは、同日に国庫に帰属する。
(防衛省令への委任)
第百六十条 この節に定めるもののほか、領置に関し必要な事項は、防衛省令で定める。
第三節 逃走時の措置
(逃走捕虜等の再拘束)
第百六十一条 抑留令書又は送還令書(以下この節において「諸令書」という。)の発付を受けて収容されている者が逃走したときは、捕虜等警備自衛官は、その逃走した者(以下この節において「逃走捕虜等」という。)を当該諸令書により再拘束することができる。
(再拘束の手続)
第百六十二条 捕虜等警備自衛官は、前条の規定により再拘束をするときは、当該諸令書を逃走捕虜等に示さなければならない。
2 捕虜等警備自衛官は、諸令書を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、前項の規定にかかわらず、当該逃走捕虜等に対し、諸令書により再拘束する旨を告げて、再拘束することができる。ただし、諸令書は、できるだけ速やかに、当該逃走捕虜等に示さなければならない。
(再拘束について必要な調査及び報告の要求)
第百六十三条 捕虜等警備自衛官は、逃走捕虜等の再拘束の目的を達するため必要な調査をすることができる。
2 捕虜等警備自衛官は、逃走捕虜等の再拘束について、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
(立入り等)
第百六十四条 捕虜等警備自衛官は、逃走捕虜等の再拘束について、逃走捕虜等が土地又は建物(以下この条において「土地等」という。)の中にいると疑うに足りる相当の理由があるときは、当該土地等に立ち入り、又はその土地等の所有者、占有者若しくは管理者に対し、質問をし、若しくは文書の提示を求めることができる。
2 前項の規定により建物、宅地又は垣、さく等で囲まれた土地に立ち入る場合には、あらかじめその旨をその所有者、占有者又は管理者に通知しなければならない。
3 捕虜等警備自衛官は、再拘束しようとして追跡中の逃走捕虜等が土地等に入った場合において、これを再拘束するためやむを得ないと認めるときは、合理的に必要と判断される限度において、その場所(人の住居を除く。)に立ち入ることができる。
4 何人も、正当な理由がなく、第一項又は前項の規定による立入りを拒んではならない。
(証票の携帯)
第百六十五条 捕虜等警備自衛官が、前条第一項の規定により立ち入り、質問をし、若しくは文書の提示の求めをし、又は同条第三項の規定により立ち入る場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
(権限の解釈)
第百六十六条 第百六十四条第一項及び第三項の規定による捕虜等警備自衛官の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第四節 捕虜等情報の取扱い
第百六十七条 抑留資格認定官は、防衛大臣の定めるところにより、現にその身体を拘束している被拘束者について、防衛大臣に定期的に報告しなければならない。
2 捕虜収容所長は、防衛大臣の定めるところにより、捕虜収容所における被収容者の収容状況について、防衛大臣に定期的に報告しなければならない。
3 前項に規定するもののほか、捕虜収容所における被収容者に関する情報の取扱いについては、防衛省令で定める。
第五節 混成医療委員
(混成医療委員の指定)
第百六十八条 防衛大臣は、武力攻撃事態又は存立危機事態に際して、被収容者に対する医療業務の実施に関して必要な勧告その他の措置をとるとともに第百三十七条第一項第一号に規定する送還対象重傷病者に該当するかどうかの認定に係る診断を行う者(以下「混成医療委員」という。)として、医師である自衛隊員一名及び外国において医師に相当する者であって指定赤十字国際機関が推薦するもの(以下「外国混成医療委員」という。)二名を指定するものとする。
2 防衛大臣は、やむを得ない事由により外国混成医療委員を指定することができないときは、これに代えて、混成医療委員として日本赤十字社が推薦する医師を指定するものとする。
(外国混成医療委員の医業)
第百六十九条 外国混成医療委員は、医師法第十七条の規定にかかわらず、被収容者に対し、医業をすることができる。
2 医師法第二十条及び第二十四条の規定は、外国混成医療委員について準用する。
(秘密を守る義務)
第百七十条 外国混成医療委員は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。外国混成医療委員でなくなった後においても、同様とする。
第六節 死亡時の措置
第百七十一条 墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号)第四条及び第五条第一項の規定は、武力攻撃事態に際して、被拘束者がその身体を拘束されている間に死亡した場合(捕虜収容所において死亡した場合を除く。)におけるその死体の埋葬及び火葬については、適用しない。
2 前項に規定するもののほか、被拘束者又は被収容者が死亡した場合における措置については、防衛省令で定める。
第七節 施設に関する基準
第百七十二条 防衛大臣は、第二章に定める手続を行うため必要な被拘束者を留め置く区画又は施設の設置要領、当該区画又は施設における安全確保のために講ずべき措置の内容その他の被拘束者の管理に必要な事項に関する基準を定めるものとする。
2 防衛大臣は、被収容者を収容する捕虜収容所の施設の設置に関する基準を定めるものとする。
第八節 特例規定等
(被拘束者への食事等の提供)
第百七十三条 自衛隊の部隊等の長は、被拘束者に対し、出動自衛官の例により、食事を無料で支給することができる。
2 被拘束者は、管轄の抑留資格認定官が指定する自衛隊病院(自衛隊法第二十七条に規定する病院をいう。)又は防衛省令で定める医療若しくは救護の業務を行う自衛隊の部隊において、出動自衛官の例により、その心身の状況に応じて必要な医療の提供を受けることができる。
(麻薬等の取扱いの特例)
第百七十四条 捕虜、衛生要員及び宗教要員は、麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第二十四条第一項の規定にかかわらず、自衛隊病院等のうち同法第二条第二十二号に規定する麻薬診療施設(以下「自衛隊麻薬診療施設」という。)の開設者に麻薬(同法第二条第一号に規定する麻薬のうち、同法第十二条第一項及び第二項に規定する麻薬を除いたものをいう。以下同じ。)を譲り渡すことができる。
2 自衛隊麻薬診療施設の開設者は、麻薬及び向精神薬取締法第二十六条第三項の規定にかかわらず、捕虜、衛生要員及び宗教要員からの麻薬の譲渡の相手方となることができる。
3 医師相当衛生要員等又は歯科医師相当衛生要員等は、自衛隊麻薬診療施設において医業又は歯科医業をするに当たっては、麻薬及び向精神薬取締法第二十四条第一項第二号及び第三号、第二十六条第一項第一号及び第二項、第二十七条第一項から第三項まで、第四項(ただし書を除く。)及び第六項、第二十八条第一項及び第二項、第三十三条第三項並びに第四十一条の規定の適用についてはこれらに規定する麻薬施用者と、同法第二十八条第一項及び第五十条の三十八第一項の規定の適用についてはこれらに規定する麻薬取扱者とみなす。この場合において、同法第二十七条第六項中「免許証の番号」とあるのは、「身分証明書番号」とする。
4 捕虜、衛生要員及び宗教要員は、麻薬及び向精神薬取締法第五十条の十六第一項の規定にかかわらず、自衛隊病院等の開設者に向精神薬(同法第二条第六号に規定する向精神薬をいう。第百七十六条第一項において同じ。)を譲り渡すことができる。
第百七十五条 捕虜、衛生要員及び宗教要員は、覚 剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)第十七条第三項の規定にかかわらず、自衛隊病院等のうち同法第三条第一項の規定により指定を受けた覚せい剤施用機関(以下「自衛隊覚せい剤施用機関」という。)に覚せい剤を譲り渡すことができる。
2 自衛隊覚せい剤施用機関は、覚 剤取締法第十七条第二項の規定にかかわらず、捕虜、衛生要員及び宗教要員から覚せい剤を譲り受けることができる。
3 前二項の場合において、覚 剤取締法第十八条第一項の規定は、適用しない。
4 捕虜、衛生要員及び宗教要員は、覚 剤取締法第三十条の九の規定にかかわらず、自衛隊病院等の開設者に医薬品である覚せい剤原料を譲り渡すことができる。
5 自衛隊病院等の開設者は、覚 剤取締法第三十条の九の規定にかかわらず、捕虜、衛生要員及び宗教要員から医薬品である覚せい剤原料を譲り受けることができる。
6 前二項の場合において、覚 剤取締法第三十条の十第一項の規定は、適用しない。
7 医師相当衛生要員等若しくは歯科医師相当衛生要員等又は薬剤師相当衛生要員等が自衛隊病院等において医業若しくは歯科医業をし、又は授与の目的で調剤を行うに当たっては、当該医師相当衛生要員等にあっては覚 剤取締法第十四条第一項並びに第二項第一号及び第三号、第十七条第三項、第十九条第二号及び第四号、第二十条第一項から第四項まで、第三十条の七第八号、第十一号及び第十二号、第三十条の九第三号、第三十条の十一第三号並びに第三十二条第一項の規定の適用についてはこれらに規定する医師と、当該歯科医師相当衛生要員等にあっては同法第三十条の七第八号、第十一号及び第十二号、第三十条の九第三号並びに第三十条の十一第三号の規定の適用についてはこれらに規定する歯科医師と、当該薬剤師相当衛生要員等にあっては同法第三十条の七第八号及び第十二号、第三十条の九第三号並びに第三十条の十一第三号の規定の適用についてはこれらに規定する薬剤師とみなす。
第百七十六条 第百四十条第三項の規定により抑留令書の発付を受けた衛生要員のうち防衛大臣が指定する者(以下「指定衛生要員」という。)は、麻薬及び向精神薬取締法第十三条第一項若しくは第五十条の八又は覚 剤取締法第十三条若しくは第三十条の六第一項の規定にかかわらず、次に掲げる事項について防衛大臣が厚生労働大臣と協議の上指定するところにより、麻薬、向精神薬、覚せい剤又は医薬品である覚せい剤原料を輸入することができる。
一 輸入の品名及び数量
二 指定衛生要員の氏名、階級等及び身分証明書番号等
三 輸入の日
四 輸送の方法
五 輸入港名
2 防衛大臣は、前項の規定による指定をしたときは、直ちに、その指定に係る事項を財務大臣に通知するものとする。
(関税法の特例)
第百七十七条 税関長は、関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)第十五条第一項第三号に規定する救じゅつのために寄贈された給与品に該当する貨物であって、被収容者にあてられたものに係る関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第六十九条第二項の許可を受けた者が同法第百条第三号の規定により納付すべき手数料については、免除する。
(入管法の特例)
第百七十八条 入管法第六十三条第一項の規定は、入管法第二十四条各号(第一号及び第二号を除く。)のいずれかに該当する外国人について捕虜収容所において抑留令書による抑留の手続が行われる場合について準用する。
2 第百四十四条の規定により送還され、第百四十六条の規定により許可されて我が国から退去し、又は第百四十七条の規定により移出をされて出国した被収容者に対して入管法第五十一条に規定する退去強制令書が発付されていた場合には、当該被収容者は、入管法第五条第一項第五号の二、第九号及び第十号の規定の適用については、当該退去強制令書により本邦からの退去を強制された者とみなす。
(行政手続法の適用除外)
第百七十九条 この法律の規定による処分及び行政指導については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二章から第四章の二までの規定は、適用しない。
(行政不服審査法の規定による審査請求の制限)
第百八十条 この法律の規定による処分又はその不作為については、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)の規定による審査請求をすることができない。
(刑事事件等との関係)
第百八十一条 被拘束者又は被収容者に対しては、刑事事件又は少年の保護事件に関する法令の規定によりその身体を拘束することを妨げない。
2 捕虜収容所長は、被収容者が刑事事件に関する裁判手続に出頭することについて、必要な協力をするものとする。
(関係機関との連絡及び協力)
第百八十二条 自衛官がこの法律の規定による被拘束者又は被収容者の抑留、送還その他の措置を講ずるに当たっては、当該自衛官と関係のある警察機関、出入国管理機関その他の国又は地方公共団体の機関は、相互に緊密に連絡し、及び協力するものとする。
第七章 罰則
第百八十三条 第三十八条及び第百七十条の規定に違反して、業務上知り得た人の秘密を漏らした者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
附 則 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、第一追加議定書が日本国について効力を生ずる日から施行する。
附 則 (平成一七年五月二日法律第三九号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附 則 (平成一八年一二月二二日法律第一一八号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附 則 (平成一九年六月八日法律第八〇号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附 則 (平成二〇年三月三一日法律第五号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、平成二十年四月一日から施行する。
附 則 (平成二二年四月二七日法律第二六号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第二条中刑事訴訟法第四百九十九条の改正規定並びに附則第四条及び第五条の規定は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附 則 (平成二六年六月一三日法律第六九号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)の施行の日から施行する。
(経過措置の原則)
第五条 行政庁の処分その他の行為又は不作為についての不服申立てであってこの法律の施行前にされた行政庁の処分その他の行為又はこの法律の施行前にされた申請に係る行政庁の不作為に係るものについては、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。
(訴訟に関する経過措置)
第六条 この法律による改正前の法律の規定により不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為を経た後でなければ訴えを提起できないこととされる事項であって、当該不服申立てを提起しないでこの法律の施行前にこれを提起すべき期間を経過したもの(当該不服申立てが他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為を経た後でなければ提起できないとされる場合にあっては、当該他の不服申立てを提起しないでこの法律の施行前にこれを提起すべき期間を経過したものを含む。)の訴えの提起については、なお従前の例による。
2 この法律の規定による改正前の法律の規定(前条の規定によりなお従前の例によることとされる場合を含む。)により異議申立てが提起された処分その他の行為であって、この法律の規定による改正後の法律の規定により審査請求に対する裁決を経た後でなければ取消しの訴えを提起することができないこととされるものの取消しの訴えの提起については、なお従前の例による。
3 不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為の取消しの訴えであって、この法律の施行前に提起されたものについては、なお従前の例による。
(罰則に関する経過措置)
第九条 この法律の施行前にした行為並びに附則第五条及び前二条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第十条 附則第五条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
附 則 (平成二六年六月一三日法律第七〇号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、平成二十七年四月一日から施行する。
附 則 (平成二七年六月一七日法律第三九号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して十月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附 則 (平成二七年九月三〇日法律第七六号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附 則 (平成二九年六月二日法律第四二号) 抄
(施行期日)
第一条 この法律は、平成三十年三月三十一日までの間において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 
二 第二条中自衛隊法第二十条の改正規定、同法第二十条の七を削る改正規定、同法第二十条の八第二項の改正規定、同条を同法第二十条の七とする改正規定、同法第二十条の九の改正規定、同条を同法第二十条の八とする改正規定、同法第二十一条第一項の改正規定、同法第七十三条の次に一条を加える改正規定並びに同法第七十五条の八及び別表第三の改正規定並びに附則第四条の規定 公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日