(被災市街地復興推進地域に関する都市計画)
第五条 都市計画法第五条の規定により指定された都市計画区域内における市街地の土地の区域で次に掲げる要件に該当するものについては、都市計画に被災市街地復興推進地域を定めることができる。
一 大規模な火災、震災その他の災害により当該区域内において相当数の建築物が滅失したこと。
二 公共の用に供する施設の整備の状況、土地利用の動向等からみて不良な街区の環境が形成されるおそれがあること。
三 当該区域の緊急かつ健全な復興を図るため、土地区画整理事業、市街地再開発事業その他建築物若しくは建築敷地の整備又はこれらと併せて整備されるべき公共の用に供する施設の整備に関する事業を実施する必要があること。
2 被災市街地復興推進地域に関する都市計画においては、
都市計画法第十条の四第二項に定める事項のほか、第七条の規定による制限が行われる期間の満了の日を定めるものとするとともに、緊急かつ健全な復興を図るための市街地の整備改善の方針(以下「緊急復興方針」という。)を定めるよう努めるものとする。
3 前項の日は、第一項第一号の災害の発生した日から起算して二年以内の日としなければならない。
(市町村の責務等)
第六条 市町村は、被災市街地復興推進地域における市街地の緊急かつ健全な復興を図るため、緊急復興方針に従い、できる限り速やかに、
都市計画法第十二条の四第一項第一号に掲げる地区計画その他の都市計画の決定、土地区画整理事業、市街地再開発事業その他の市街地開発事業の施行、市街地の緊急かつ健全な復興に関連して必要となる公共の用に供する施設の整備その他の必要な措置を講じなければならない。
2 被災市街地復興推進地域内の
都市計画法第十二条第二項の規定により土地区画整理事業について都市計画に定められた施行区域の土地については、市町村が当該土地区画整理事業を施行するものとする。ただし、当該土地について
土地区画整理法第三条第一項から
第三項まで又は
第五項の規定により土地区画整理事業が施行される場合は、この限りでない。
3 前項本文の場合において、都道府県は、当該市町村と協議の上、当該土地区画整理事業を施行することができる。当該土地区画整理事業が独立行政法人都市再生機構(以下「機構」という。)又は地方住宅供給公社が施行することのできるものであるときは、これらの者についても、同様とする。
4 被災市街地復興推進地域内の
都市計画法第十二条第二項の規定により市街地再開発事業について都市計画に定められた施行区域の土地については、市町村が当該市街地再開発事業を施行するものとする。ただし、当該土地について
都市再開発法第二条の二第一項から
第三項までの規定により第一種市街地再開発事業が施行される場合は、この限りでない。
5 前項本文の場合において、都道府県は、当該市町村と協議の上、当該市街地再開発事業を施行することができる。当該市街地再開発事業が機構又は地方住宅供給公社が施行することのできるものであるときは、これらの者についても、同様とする。
6 被災市街地復興推進地域のうち建築物及び建築敷地の整備並びに公共の用に供する施設の整備を一体として行うべき土地の区域としてふさわしい相当規模の一団の土地(国又は地方公共団体の所有する土地で公共の用に供する施設の用に供されているものを除く。)について所有権又は借地権(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者は、その全員の合意により、当該被災市街地復興推進地域の緊急復興方針に定められた内容に従ってその土地の区域における建築物及び建築敷地の整備並びに公共の用に供する施設の整備に関する事項を内容とする協定を締結した場合においては、当該協定に基づく計画的な土地利用を促進するために必要な措置を講ずべきことを市町村に対し要請することができる。
(建築行為等の制限等)
第七条 被災市街地復興推進地域内において、第五条第二項の規定により当該被災市街地復興推進地域に関する都市計画に定められた日までに、土地の形質の変更又は建築物の新築、改築若しくは増築をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
二 非常災害(第五条第一項第一号の災害を含む。)のため必要な応急措置として行う行為
三 都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為
2 都道府県知事等は、次に掲げる行為について前項の規定による許可の申請があった場合においては、その許可をしなければならない。
一 土地の形質の変更で次のいずれかに該当するもの
イ 被災市街地復興推進地域に関する都市計画に適合する〇・五ヘクタール以上の規模の土地の形質の変更で、当該被災市街地復興推進地域の他の部分についての市街地開発事業の施行その他市街地の整備改善のため必要な措置の実施を困難にしないもの
ロ 次号ロに規定する建築物又は自己の業務の用に供する工作物(建築物を除く。)の新築、改築又は増築の用に供する目的で行う土地の形質の変更で、その規模が政令で定める規模未満のもの
ハ 次条第四項の規定により買い取らない旨の通知があった土地における同条第三項第二号に該当する土地の形質の変更
二 建築物の新築、改築又は増築で次のいずれかに該当するもの
イ 前項の許可(前号ハに掲げる行為についての許可を除く。)を受けて土地の形質の変更が行われた土地の区域内において行う建築物の新築、改築又は増築
ロ 自己の居住の用に供する住宅又は自己の業務の用に供する建築物(住宅を除く。)で次に掲げる要件に該当するものの新築、改築又は増築
(1) 階数が二以下で、かつ、地階を有しないこと。
(2) 主要構造部(
建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第五号に規定する主要構造部をいう。)が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること。
(3) 容易に移転し、又は除却することができること。
(4) 敷地の規模が政令で定める規模未満であること。
ハ 次条第四項の規定により買い取らない旨の通知があった土地における同条第三項第一号に該当する建築物の新築、改築又は増築
3 第一項の規定は、次の各号に掲げる告示、公告等があった日後は、それぞれ当該各号に定める区域又は地区内においては、適用しない。
六 市街地開発事業に準ずる事業として国土交通省令で定めるものの実施に必要とされる認可その他の処分についての公告、告示等で国土交通省令で定めるもの 当該公告、告示等に係る区域
4 第一項の許可には、緊急かつ健全な復興を図るための市街地の整備改善を推進するために必要な条件を付けることができる。この場合において、その条件は、当該許可を受けた者に不当な義務を課するものであってはならない。
5 都道府県知事等は、第一項の規定に違反した者又は前項の規定により付けた条件に違反した者があるときは、これらの者又はこれらの者から当該土地若しくは建築物その他の工作物についての権利を承継した者に対して、相当の期限を定めて、緊急かつ健全な復興を図るための市街地の整備改善を推進するために必要な限度において、当該土地の原状回復又は当該建築物その他の工作物の移転若しくは除却を命ずることができる。
6 前項の規定により土地の原状回復又は建築物その他の工作物の移転若しくは除却を命じようとする場合において、過失がなくてその原状回復又は移転若しくは除却を命ずべき者を確知することができないときは、都道府県知事等は、それらの者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、これを原状回復し、又は移転し、若しくは除却すべき旨及びその期限までに原状回復し、又は移転し、若しくは除却しないときは、都道府県知事等又はその命じた者若しくは委任した者が、原状回復し、又は移転し、若しくは除却する旨を公告しなければならない。
7 前項の規定により土地を原状回復し、又は建築物その他の工作物を移転し、若しくは除却しようとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
(土地の買取り等)
第八条 都道府県、市町村その他政令で定める者は、都道府県知事等に対し、第三項の規定による土地の買取りの申出の相手方として定めるべきことを申し出ることができる。
2 都道府県知事等は、前項の規定による申出に基づき、次項の規定による土地の買取りの申出の相手方を定めるときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。
3 都道府県知事等(前項の規定により土地の買取りの申出の相手方として公告された者があるときは、その者)は、被災市街地復興推進地域内の土地の所有者から、次に掲げる行為について前条第一項の許可がされないときはその土地の利用に著しい支障を生ずることとなることを理由として、当該土地を買い取るべき旨の申出があったときは、特別の事情がない限り、当該土地を時価で買い取るものとする。
一 前条第二項第二号ロ(1)から(3)までに掲げる要件に該当する建築物の新築、改築又は増築
二 前号に規定する建築物の新築、改築又は増築の用に供する目的で行う土地の形質の変更
4 前項の申出を受けた者は、遅滞なく、当該土地を買い取る旨又は買い取らない旨を当該土地の所有者に通知しなければならない。
5 第二項の規定により土地の買取りの申出の相手方として公告された者は、前項の規定により土地を買い取らない旨の通知をしたときは、直ちに、その旨を都道府県知事等に通知しなければならない。
6 第三項の規定により土地を買い取った者は、当該土地が公営住宅等、公共の用に供する施設その他被災市街地復興推進地域の住民等の共同の福祉又は利便のために必要な施設の用に供されるように努めなければならない。