(法律行為に係る証書の作成の手数料の原則)
第九条 法律行為に係る証書の作成についての手数料の額は、この政令に特別の定めがある場合を除き、別表の中欄に掲げる法律行為の目的の価額の区分に応じ、同表の下欄に定めるとおりとする。
(法律行為の目的の価額の算定時期)
第十条 法律行為の目的の価額は、公証人が証書の作成に着手した時の価額による。
(給付に係る法律行為の目的の価額)
第十一条 給付に係る法律行為の目的の価額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額とする。
一 当事者の双方の嘱託によるとき 当事者の双方がするべき給付の価額を合算した額。ただし、当事者の一方がするべき給付のみが金銭を目的とするものであるときは、その給付の額の二倍の額
二 当事者の一方の嘱託によるとき 嘱託人がするべき給付の価額。ただし、相手方がするべき給付のみが金銭を目的とするものであるときは、その給付の額
(担保に関する給付の価額)
第十二条 法律行為が担保(企業担保権を除く。以下同じ。)の設定を目的とするときは、その給付の価額は、担保の目的の価額又は担保される債権の額のうちいずれか少ない額による。
2 法律行為が担保の移転を目的とするときは、その給付の価額は、担保の目的の価額、担保される債権の額又は担保の移転により担保されるべき債権の額のうちいずれか少ない額による。
3 法律行為が担保の順位の移転を目的とするときは、その給付の価額は、担保の目的の価額、担保の順位の移転により優先の順位を取得するべき担保に係る債権の額又はこれにより優先の順位を失うべき担保に係る債権の額のうちいずれか少ない額による。
(定期給付に関する給付の価額)
第十三条 法律行為が定期の給付を目的とするときは、その給付の価額は、全期間の給付の価額の総額とする。ただし、動産の賃貸借及び商工業の見習を目的としない雇用については五年間、その他の法律行為については十年間の給付の価額の総額を超えることができない。
2 前項の定期の給付につき期間の定めがないときは、その給付の価額は、同項ただし書に規定する法律行為の別に従いそれぞれの期間の給付の価額の総額とする。
3 第一項の法律行為につき当事者がするべき給付がいずれも金銭を目的とするものでない場合であって、相手方がするべき給付が定期のものでないときは、当該相手方がするべき給付の価額は、定期の給付の価額と同一とみなす。
(算定不能の場合の給付の価額)
第十四条 給付に係る法律行為について当事者の一方がするべき給付のみの価額を算定することができないときは、その給付の価額は、相手方がするべき給付の価額と同一とみなす。ただし、その当事者の一方がするべき給付の最低価額が相手方がするべき給付の価額を超えることが明らかなときはその最低価額とし、その当事者の一方がするべき給付の最高価額が相手方がするべき給付の価額に満たないことが明らかなときはその最高価額とする。
(果実等に関する法律行為の目的の価額)
第十五条 果実、損害賠償、違約金又は費用が法律行為の附帯の目的であるときは、これらの価額は、法律行為の目的の価額に算入しない。
(算定不能の場合の法律行為の目的の価額)
第十六条 法律行為の目的の価額を算定することができないときは、その法律行為の目的の価額は、五百万円とみなす。ただし、その法律行為の目的の最低価額が五百万円を超えることが明らかなときはその最低価額とし、その法律行為の目的の最高価額が五百万円に満たないことが明らかなときはその最高価額とする。
(承認等に関する証書)
第十七条 承認、許可若しくは同意又は当事者の双方が履行していない契約の解除に係る証書の作成についての手数料の額は、一万千円とする。ただし、当該証書に係る法律行為についての別表の中欄に掲げる法律行為の目的の価額の区分に応じてそれぞれ同表の下欄に掲げる額の十分の五に相当する額が一万千円を下回るときは、当該下回る額による。
(委任状)
第十八条 委任状の作成についての手数料の額は、七千円とする。
(遺言に関する証書)
第十九条 遺言の証書の作成(遺言の補充又は更正に係るものを除く。)についての手数料の額は、第九条の規定による額に一万千円を加算する。ただし、遺言の目的の価額が一億円を超えるときは、この限りでない。
2 遺言の全部又は一部の取消しの証書の作成についての手数料の額は、一万千円とする。この場合においては、第十七条ただし書の規定を準用する。
(株主総会等の決議に関する証書)
第二十条 株主総会その他の集会の決議に係る証書の作成についての手数料の額は、第二十六条の規定の例により算定する。
(企業担保権に関する証書)
第二十一条 企業担保権の設定を目的とする契約の証書の作成についての手数料の額は、十一万円とする。
2 企業担保権の変更を目的とする契約の証書の作成についての手数料の額は、四万五千円とする。
(規約の設定等に関する証書)
第二十二条 建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)
第三十二条の規定による規約の設定に係る証書の作成についての手数料の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額とする。
二 専有部分の個数が十個を超え五十個以下の場合 二万三千円に超過個数十個までごとに一万千円を加算した額
三 専有部分の個数が五十個を超え百個以下の場合 六万七千円に超過個数十個までごとに九千円を加算した額
四 専有部分の個数が百個を超える場合 十一万二千円に超過個数二十個までごとに六千円を加算した額
二 建物の棟数が五棟を超える場合 二万三千円に超過棟数五棟までごとに一万千円を加算した額
3 前二項に規定するもののほか、
建物の区分所有等に関する法律の規定による規約の設定に係る証書の作成についての手数料の額は、第一項の規定の例による額とする。
4 一団地内の数棟の建物に対する前項の規定の適用については、一団地内の数棟の建物の全部が専有部分のある建物以外の建物であるときはその建物の個数を専有部分の個数と、一団地内の数棟の建物の一部が専有部分のある建物以外の建物であるときはその建物の個数に専有部分の個数を加えたものを専有部分の個数とみなす。
5 第一項から第三項までに規定する規約の変更に係る証書の作成についての手数料の額は、当該規約の設定に係る証書の作成についての手数料の額と同一とする。ただし、当該規約の設定に係る証書が当該公証人役場において作成されているときは、その額の十分の五の額(二万三千円に満たないときは、二万三千円)とする。
6 第一項から第三項までに規定する規約の廃止に係る証書の作成についての手数料の額は、一万千円とする。
(従たる法律行為の特例)
第二十三条 従たる法律行為について主たる法律行為とともに証書が作成されるときは、その手数料の額は、主たる法律行為により算定する。
2 担保の設定を目的とする法律行為について担保される債権に係る法律行為とともに証書が作成される場合における前項の規定の適用については、担保される債権の額と担保の目的の価額又は担保される債権の額のうちいずれか少ない額の十分の五の額とを合算した額をもって主たる法律行為の目的の価額とする。
3 企業担保権の設定を目的とする契約について担保される債権に係る法律行為とともに証書が作成されるときは、その手数料の額は、第一項の規定にかかわらず、その担保される債権に係る法律行為のみに係る証書の作成についての第九条の規定による額に五万五千円を加算した額とする。ただし、第二十一条第一項の規定による額を下回らないものとする。
(法律行為の補充又は更正の特例)
第二十四条 法律行為(次項に規定するものを除く。)の補充又は更正に係る証書の作成についての手数料の額は、当該法律行為に係る証書が当該公証人役場において作成されているときは、当該法律行為の補充又は更正の目的の価額を法律行為の目的の価額とした場合の第九条の規定の例による額の十分の五の額とする。
2 第十七条、第十八条、第十九条第二項、第二十一条及び第二十二条に規定する法律行為の補充又は更正に係る証書の作成についての手数料の額は、当該法律行為に係る証書の作成についての手数料の額の十分の五の額とする。ただし、当該法律行為に係る証書が当該公証人役場において作成されているときは、当該法律行為に係る証書の作成についての手数料の額の十分の二・五の額とする。
(証書の枚数による加算)
第二十五条 法律行為に係る証書の作成についての手数料については、証書の枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により四枚(法務省令で定める横書の証書にあっては、三枚)を超えるときは、超える一枚ごとに二百五十円を加算する。